住宅の購入はいつが有利なの?
佐々木総研
税務・会計皆様ご存知の通り、消費税率が2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられることとなりました。特段の対策が打たれない限り、駆け込み需要や反動で2013年度以降の住宅投資は大きく変動する見込みとなっております。これを踏まえて増税に伴う負担増を緩和するための方策を検討する動きがみられます。
消費税率引上げにより、住宅投資は大きく変動することが予想されるため、国土交通省は、平成25年度税制改正の消費税対応項目として「住宅取得に係る総合的な対応」を要望しています。各種報道によれば、その総合的な対応として、駆け込み需要の反動が懸念される2014年に縮小される予定の 住宅ローン減税制度 を拡充することが検討される模様となっております。
拡充案としては、住宅ローン減税制度の対象借入金残高の上限の引上げや、減税期間の延長、控除率の引上げ、住民税の控除上限撤廃などが考えられますが、仮にこれらの拡充案を全て盛り込むような大規模な対策が実現した場合、その負担軽減額が、消費税増税による負担額を上回ってしまう場合もあり得ます。この場合、消費増税前の「駆け込み」の発生ではなく、むしろ増税までの「買い控え」が発生する可能性があるとのことです。
リポートは、2014年の住宅ローン減税が「対象借入残高の上限4000万円(現行:一般住宅2000万円、エコ住宅3000万円)、減税期間15年(同10年)、当初10年間の控除率2%(同1%)へと(結果、最大減税額が過去最大規模の約2倍に当たる1000万円へと)」拡充され、住民税の控除上限が撤廃された場合に、消費税増税後の住宅取得の負担がどう変わるかを試算しています。
一定のモデル世帯を想定して試算すると、住宅取得時の年収が1000万円の世帯では、住宅ローン減税制度拡充による税負担の軽減額(471万円)が、消費税増税による税負担の増加額(150万円)を大きく上回り、2014年以降に住宅を取得することで住宅を6.4%も安く購入することが可能となります。加えて、高所得者層ほど恩恵が大きくなることから、公平性の観点から議論の余地が残る点にも留意が必要と指摘されています。
以上の議論は引き続き継続されると思いますので、もし、住宅の購入を検討されている方は、事態の推移を静観して、どのタイミングでどう動くべきか判断される方が宜しいかと思われます。
財務コンサルティング部 第一部
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