【医療介護あれこれ】診療報酬改定で考えること・・・機能別改定のポイント①-3
長 幸美
アドバイザリー前回までの記事はこちら
「がん医療について」
緩和ケアについて、早維持期からの連携が評価されています。「がん」の診断を受けた方は多かれ少なかれ精神的にもダメージを受け、経済的にも不安を強いられることが多いと聞きます。今回の改定ではそのような状況を早くからサポートできるように、外来で化学療法を受けているような早い段階で緩和ケアと在宅との連携を評価されています。
「認知症について」
認知症は将来80歳以上の高齢者のうち2人に1人は認知症になるのではないかという事もいわれるほど、国民の大きな関心事になっていると思います。
昨年、新オレンジプランが出され、各自治体では様々な取組が行われています。介護事業所だけではなく医療機関でも認知症サポーター養成講座が開催され、地域の中でも様々な取組が行われています。
医療機関としては、早期の専門医による診断と家族へのサポートが進められているところですが、今回さらに「環境調整(アセスメント)を行い、できるだけ拘束しない」ということに取り組まれる医療機関への評価が手厚くなっています。在宅でも、認知症地域包括診療料として非常に高い評価がつきました。高齢化が進んでいる地区では、是非対応を検討されてみては如何でしょうか。
出典:2016年3月4日 厚生労働省保健局医療課 平成28年度診療報酬改定の概要 P37
「精神科医療について」
精神科についても、退院支援や在宅への移行、薬剤の投与についてなど多くの課題があります。長期的に入院されている患者さんをどのように地域に帰していくのかという問題も大きいのですが、ここでは、身体合併症を有する精神疾患患者への医療の提供を考えてみましょう。
今回、新たに「精神疾患診療体制加算」が付けられ、転院を受け入れたら1000点、救急時の対診で330点と高い評価がついています。救急時の対診では精神科の標榜がない医療機関の場合を想定されているようで、身体疾患と外傷が対象になるということでした。また、総合病院としっかりと連携することに対し「精神科急性期医師配置加算」等があります。精神科疾患がベースにある場合の急性期病院への治療の受入や救急搬送が問題となっていることはメディアでも取り上げられていますが、その問題点を「連携」という形で精神科の医療機関はサポートしていくことを求められているようです。
また、療養病床でも同様の状況があります。療養病床の医療区分の評価でも「精神保健医」が処方しているかどうかを評価されています。
精神科リエゾンチームへの評価も上がっていますし、投薬については「処方料」「薬剤料」「処方せん料」についても、薬剤の種類と剤数により多剤投与の縛りがありますが、さらに厳しくなってきています。多剤投与をなくすことにより評価もついていますが、多剤投与することにより精神科療法の減算等も行われ、投薬のコントロールが必要になってきます。
「小児について」
小児かかりつけ医の評価が明確にされ、小児慢性特定疾患に罹患する患者に対する入院医療管理料の評価を20歳まで引き上げること、また、重症小児の在宅医療を推進するために在宅医療を行う医師への評価や、高度急性期から転院を受け入れる医療機関への評価、救急時の受入や検査等に対する加算の評価などが設定されています。
また、短期入所サービスを受けた時の出来高の範囲が明確化されるなど、NICU後の重症児に対する評価が充実してきたようです。
小児科外来診療料については、小児科の標榜があれば届出は不要となりました。また、小児かかりつけ医に関しては、小児の健康診断、予防接種等の実施を行われている先生方は、是非、届出を検討されてください。
<参考資料>
〇平成28年度診療報酬改定の概要(3月4日説明会資料)
〇平成28年度診療法主改定の概要(厚生労働省保険局医療課 宮嵜雅則医療課長)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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