【医療介護あれこれ】診療報酬改定で考えること・・・機能別改定のポイント①-4
長 幸美
アドバイザリー前回までの記事はこちら
「手術など、新しい医療技術の評価について」
CT(64列以上)、MRI(3テスラ以上)の共同利用に対する評価が新たに設定されています。また、手術料の評価については外保連試案が活用され、人件費及び材料費の見直しが行われています。先進医療についても、ブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)やダヴィンチ(内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下腎部分切除)などが評価の対象となっています。
検体採取については「鼻腔・咽頭ぬぐい液採取(5点)」がついたことはクリニックの先生方にとっては大きいのではないかと思います。
「処方について」
今回の改定でのトピックスは「薬剤を減らす」ということについて様々な評価がついているということではないでしょうか。
1つは、「後発医薬品」の使用についてですが、「一般名処方」について見直しがあり全ての処方を一般名で処方することによりプラス1点がつくことになります。
「残薬」については、医療機関の取組、調剤薬局の取組それぞれに配点がありますが、医師が主体的に調整し、減薬することにより「薬剤総合評価調整加算」がつくようになりました。
また、「処方せんの様式変更」があります。チェック式で、
①医療機関へ疑義調整照会したうえで調剤
②医療機関へ情報提供
どちらかを選ぶようになっています。
①を選んだ場合は、薬局で残薬確認を行い、残量にあわせて処方日数を変更するなどの対応を、「疑義照会」で対応するもの。
②の場合は、残薬確認を行い、残量を医療機関へ連絡し、次回の処方日数を調整してもらうというもの。
どちらにせよ、医療機関側には残薬の連絡が入り、きちんと服薬できているか、剤数を減らすことができないかということを検討することになります。
また、入院時や治療開始時に、受診している全ての医療機関からどれだけの処方を受けているのかを確認し、6種類以上の内服薬があった場合、調整して2種類以上減らす事ができたら、加算(ご褒美)がつくものもあり、さらに、精神科では減らさなければ治療が減算されるなどのペナルティもあります。
薬剤に関しては、大事な薬効があると共に、「有害な副作用」が起こりうるものであるため、できるだけ少ない量で・・・ということなのでしょう。
また、湿布薬の処方上限が1処方トータルで70枚という事になりました。種類が違うものを出す場合でもトータルの枚数になり、70枚を超えて処方する場合、保険請求できなくなります。(例外規定あり)70枚未満の処方でもカルテとレセプトに「使用方法と量」(どこに、何枚、何日分か)を明記する必要が出てきました。
「眼科:コンタクトレンズ処方について」
院内コンタクトレンズの交付割合が高い医療機関については検査料の引き下げが行われています。
「経過措置について」
今回、たくさんの経過措置があります。項目ごとに経過措置期間が様々です。
病床機能に関しては、殆どが「病床機能報告」にあわせる形で経過措置が決められています。
経過措置は急激に基準要件が満たせない場合を想定して設けられたものであり、確実に報告等の対応が必要になってきますので、充分に留意して対応されるようにしてください。
何度も申しあげますが、今回の改定は平成30年度の同時改定へ向けたもの、さらには2025年の「団塊の世代全員が75歳を迎える」時期の「医療・介護」を中心とした地域のあり方を見据えた第一歩となっています。自医療機関のことだけではなく、「地域の中で、どのように連携を築いていくのか」が大きなポイントになること、「医療機関の役割はとても大きいこと」をしっかり考えて、これからの改定の対応を検討していきましょう。
<参考資料>
〇平成28年度診療報酬改定の概要(3月4日説明会資料)
〇平成28年度診療法主改定の概要(厚生労働省保険局医療課 宮嵜雅則医療課長)
経営コンサルティング部
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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