【医療介護あれこれ】外来医療(その1)について①
長 幸美
アドバイザリー2月は「にげる」と例えられる通り、あっという間に10日が過ぎてしまいました。
一年のうちで最も寒い時期とされ、和名の「如月」の語源は「衣更着」・・・つまり「寒さがぶり返し、衣をさらに着込む」といういわれがあるそうです。
そんな2月ではありますが、中医協では、先日「外来医療(その1)」が出され、現在の外来医療の体制や患者の状況、診療報酬上の評価について、整理されています。今回のコラムでは、医療機関を取り巻く現状をこの資料を基におさらいしてみたいと思います。
【医療提供体制について】
医療施設等の数については、無床診療所が年々増加し、有床診療所については減少傾向があります。推計の外来患者の年齢階級別の推移は、75歳以上の割合が増加し、診療所の患者割合は7割強となっています。
この中で特徴的なことは、小児科の標榜している医療機関の推移かもしれません。
病院では、平成5年以降の20年間で約1,500の病院で小児科の標榜がなくなりました。
診療所でも、減少傾向であることがわかると思います。皆さんの周辺でも、小児科は患者が多く待ち時間の問題が上がっている医療機関が多いのではないでしょうか?
15歳未満の外来患者数は増加傾向にあり、休日・夜間の受診回数をみてみると、近年は増加の傾向にあります。
また、小児救急電話相談のサービスが各都道府県で行われていますが、この相談件数は年々増加の傾向にあります。平成26年度の相談実績件数は63万件を超えている状況です。
【患者の状況】
外来の受診回数は、若干減少傾向にあるようですが、65歳以上の割合は増加しています。これは、高齢化に伴う疾患、つまり生活習慣病といわれるものの増加や指導管理が必要な方の増加がベースにあるのではないでしょうか。入院から外来へのシフトも一因があるかもしれません。
【診療内容と医療費】
主な疾患別の推計外来患者数は以下の通りとなっていますが、糖尿病や高脂血症、高血圧性疾患や循環器系の疾患など、生活習慣病といわれているものが多い傾向にあります。
この中で、前回の診療報酬改定でも調剤部分が大きく変わりましたが、処方箋1枚当たりの薬剤種類数は減少し、投薬日数は増加している傾向があります。
薬剤の使用は、高齢化に伴い種類数が増加して、薬剤料が高額になっていることもわかっています。入院外の診療報酬点数の伸びからも、外来へのシフトが進んでいることは予測できる状況です。
参考までに外来の一日あたりの収入の内訳は下記の通りになっています。
病院ではこの10年間で約500円の診療費が上がっていますが、診療所では50円程度の上昇となっています。
また、科別の受診回数は平均で1.6回、整形外科が多く、それでも3回に届いていません。一時期に比べると、ずいぶん少なくなってきました。特にリハビリは「効果」を数値で表すようになってきましたし、今後大きく変化が予測されるところであります。
<参考資料>
〇外来医療(その1)・・・ 中医協 総-5資料 平成29年2月8日
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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