【医療介護あれこれ】「外来医療(その2)」

長 幸美

アドバイザリー

新年度が始まり、世の中が何となくまぶしく見えるような気がするのは気のせいでしょうか。季節は二十四節気で「清明」自然の息吹を感じるころですね。

さて、年度末の3月29日、中医協で「調剤報酬(その1)」「外来医療(その2)」の議論が行われました。今回は「外来医療(その2)」について述べたいと思います。

前回、「外来医療(その1)」では「かかりつけ医の機能」について議論されました。
今回は「予防から治療まで一貫したサービス提供・システム連携の推進」について取り上げられました。

外来患者の傷病分類別にみた推計外来患者数を見ると、①循環器系の疾患、②筋骨格系、③呼吸器系の疾患で約5割弱の患者が占めています。
死因に占める生活習慣病の割合では、悪性新生物、脳血管疾患、高血圧・心疾患、糖尿病で6割弱を占めるという結果が出ました。

そして、入院外の1件当たりの点数は、以下の通りになっています。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

生活習慣病は、食事・運動・喫煙・飲酒といった生活習慣がその発症・進行に関与する疾患群と定義されています。生活習慣を改善することで、重症化や合併症を予防することが可能だと考えられています。

また、生活習慣病は、合併症を伴い、徐々に重症化していきます。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

そして、高齢者の要介護認定を受けているかたの、3~4割程度の方がこの生活習慣病の治療を受けています。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

この生活習慣病については、食生活や継続的に運動を行う等の予防や発症した場合も適切な生活習慣の改善により重度化・重症化することを抑えることができると考えられていて、健康増進法、高齢者医療確保法、医療法等の各法律の中にも記載があり、改善へ向けた取り組みが推進されています。今後、この予防的な取り組みにより重度化防止に効果があった場合のインセンティブを検討していくとのことが言われています。どのように評価していくのか、が注目すべきところだと思います。

また、健康日本21の中では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小が課題となっています。

私たちも年に1回健康診断を受けています。
年齢を重ねるごとに「血圧が高い」「血糖値が高い」「コレステロール値が高い」・・・などとさまざまな指摘を受けることが増えてきます。

私の家族もご多分に漏れず、父方は血糖値やコレステロールが高く、父の兄弟は全員「糖尿病関連の病気」を持っていて半数は認知症を発症して、何らかの治療をしながら生活をしていました。母方は消化器系のがんが半数程度います。私自身もコレステロールが高く、検診のたびに食生活の指導と運動指導を受けていますが、なかなか良好なコントロール状態とまでまいりません。

このように、生活習慣病を抱えつつ、地域の中で生活をしています。
しかし、高齢化してくるにつれ、病院への通院が負担となり、徐々に活動範囲も狭くなってくることは容易に予測されることではないでしょうか。

そのような状況になったときに気にかかることは何かというと、具合が悪くなった時の対応をどうするか、仕事をしながら果たして生活が成り立っていくのか・・・ということでしょう。個人的には、私の一番の心配でもあり、関心事です。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

この図は以前からよくご覧になられている図だと思います。
5疾病・・・生活習慣病そのほか、継続的に医療が必要となる疾病として厚労省が定めているもので、
「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「精神疾患」となっています。
5事業・・・5疾病の急性増悪時に必要な医療機能をどのように確保していくのか、別名「救急医療確保事業」とも言われています。「救急医療」「災害時医療」「へき地医療」「周産期医療」「小児医療(小児救急含む)」が主なものになります。

第7次医療計画には、これに新たに「在宅医療」が加わり、議論が進められています。

そして、地域の中での医療・介護連携については、「糖尿病の連携パス」のイメージを用いて説明されています。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

また、予防の中では、健康診断についても、議論されており、健診・保健指導の基本的な考え方については、以下の図に整理されています。参考までにご覧ください。

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(出典:20170329 中医協資料「外来医療(その2)」)

さあ、皆さん、地域医療構想の中で、地域包括ケアシステムの中での外来医療の位置づけが、少しずつ明らかになり、内外ともに「連携」を意識し、医療職同士、医療職と介護職、そして地域の中で「繋がり」をもって「支えていく」ことが求められていることがお分かりになると思います。

出典:平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書より

その中でのどのポジションを担っていくのか・・・そろそろ真剣に考えていく時が来ているようですね。

 

<参考資料>
外来医療(その2)・・・中医協資料(20170329)
地域包括ケアシステム・・・厚労省のホームページ

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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