【医療介護あれこれ】「在宅医療(その2)」

長 幸美

アドバイザリー

新緑が目にも鮮やかな、過ごしやすい時期となりました。
さて、今回は、先日 中医協から発表された「在宅医療(その2)」について考えてみたいと思います。

今回の内容は主に、「在宅医療提供体制の確保」と「看取りを含めた在宅医療の充実」について地域包括ケア・・・つまり「住み慣れた地域で安心して暮らし続ける」という視点から検討されています。

まずは「在宅医療提供体制の確保」についてです。

住み慣れた地域の中で「安心」して暮らすためには、医療機関の支援体制・・・つまり緊急時の対応、ゆくゆくは終末期においてどのような支援が受けられるか、ということがポイントになるのではないでしょうか?

以前のコラムの中で「終末期医療」という言葉があまりよろしくないということが議論され「人生の最終段階における医療」という言い方に変わりつつあるというお話をしたと思います。

在宅医療を考えていく中で、「人生の最終段階をどこで過ごすか」ということは、どうしても避けては通れないものだと思います。

多くのアンケート結果において、人生の最終段階を過ごしたい場所として、「自宅」と回答する人が多いと思いますが、現実では、「往診してくれる医師がいない」「訪問看護・訪問介護などのサービスが整っていない」「介護してくれる家族がいない」という理由で、病院や施設で過ごされる方が多いのが現状です。その中で、自宅で最期まで療養することが困難な理由として最も多い回答が「家族の負担」「症状が急変した時の対応への不安」でした。

その「患者の意思決定」のために必要な支援をするためのガイドラインが意見交換の資料として出されていますが、その中でも「医療従事者から適切な情報の提供と説明」が必要であるということが書かれています。

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

私も80歳を過ぎた両親と自宅で暮らしています。昔は難なくできていたことが徐々にできなくなり、どこかしら不調を訴えることも増えてきました。昼間仕事をしていますので、ご近所様のご支援が欠かせない状況です。今は、歩いて医療機関を受診し、薬を服薬することもできていますし、食事も作って食べることができていますが、いずれそのようなことができなくなることも予測できます。その時にどうしたいのか、家族で話し合うことも大事ではないかと思いますが、先送りしてしまっているのが現状です。

そんなことを考えている中、看護の日に、財政破たんした夕張で「医療の在り方」を考え、立て直しに尽力されていた村上智彦先生がお亡くなりになりました。
予防医療も含め地域医療の中で何が必要か、行動で示してくださった方です。SNSの中でお話や考え方等を聞かせていただき、一度お逢いしたいと思っていたのですが、かなわなくなってしまいました。前職での在宅医療立ち上げ時に参考にさせて頂き、現在も医療機関さまのご相談に対応するときに、参考にさせていただいています。

医師であり患者である立場から医療の問題点や高齢者医療、地方が抱えている医療問題の解決策などを発信し、「ささえる医療」を実践されていました。詳しくお知りになりたい方は、「ささえる医療」「村上スキーム」「最強の地域医療」をぜひご覧いただきたいと思います。

話を戻しましょう。
この終末期を考える中では、在宅医療・・・特にかかりつけ医の役割というものが大きくなってくると思います。かかりつけ医に求められていくものとしては、日常的な療養の支援だけではなく、急変時の相談機能やお看取りについてもご要望があるのではないでしょうか?

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

来年度の改定に向けては、かかりつけ医の在り方が問われてくるのではないかと思っています。具体的には、「地域包括診療料」や「認知症地域包括診療料」の算定があるものを「かかりつけ」として定義しようかという議論もあるように聞いています。

かかりつけ医のイメージを整理して、
・どのようなことを求められているのか、
・それは自院だけで完結することができるのか、
・できなければどの医療機関と、どのように手を携えていくのか・・・
考えておく必要があるように思います。

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

また、在宅を支援している病院・医院が在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所を取得しているかというと、特にそのようなこともないようです。しかし、点数算定等に大きく差が出てきていますので、皆様の医療機関がおかれている状況を確認され、立ち位置と請求内容を確認してみてください。

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

以下は、在宅にかかる「訪問診療」「往診」及び「在宅時医学総合管理料」「施設入居時等医学総合管理料」について中医協の資料を添付いたします。

 

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

それから、今回の改定では、在宅医療において重症度・居住場所に応じた評価を取り入れられていますが、これらの状態等の検証もこれから行われていくことになると思われ、今後注目していく必要があると思います。

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出典:中医協資料「在宅医療(その2)」20170412

つらつらと記載していますが、前回の入院や回復期リハビリテーション病棟に引き続き、患者さんの状態や治療の内容、アウトカム(結果)に応じて保険点数を考えるというスタンスは変わらないと思います。今後の介護保険の動きも含めて、しっかりと見ていく必要があると思っています。

 

<参考資料>
中医協資料「在宅医療(その2)」
・「ささえる医療」「村上スキーム」「最強の地域医療」・・・著者:村上智彦

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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