【医療介護あれこれ】「介護ロボット等を活用した先進的介護に関するシンポジウム」に参加して

長 幸美

アドバイザリー

1三連休の真っただ中・・・北九州市が主催する「介護ロボット等を活用した先進的介護に関するシンポジウム」が西日本総合展示場で行われ、参加してきました。

皆さん、「介護ロボット」ということを聴いて、何をイメージされますか?

私は、「介護ロボット」というと、「ご飯を食べさせる」「入浴介助の為のリフト」、リハビリを助ける「ロボットスーツHAL」というようなイメージを持っていましたが・・・AIを利用して会話を行うもの、登録している異常行動や離床を察知して知らせるタイプのものなど様々なものが展示されていました。

北九州市で働くようになり、2年半になりますが、「モノづくり都市」や「政令都市の中でも高齢化率が高い都市」としてのイメージはもっていましたが、その特徴を生かして、国家戦略特区制度を活用した「介護ロボットの開発や実証実験」を行われ、びっくりすることばかりでした。

このロボットを利用して、介護職員の負担軽減や介護の質の向上に役に立つのか???と思っている方も多いのではないかと思います。私もその一人です。
しかし、現実の問題として、介護職員の数は減少傾向にあり、採用したいと思っても応募がないという事実もあります。地方の町に行けば行くほどその傾向は強いのではないかと思います。そのような中で、地域と一体となった、「産学官民共同の連携による先進的介護」に関する関心は高いのではないでしょうか?

北九州市における「先進的介護」の実証実装実験では、「導入」「開発」「実証」「社会実装」の4つのフェーズに分けて、介護ロボットの開発メーカーと介護の現場(施設)が相互に連携しあいながら事業を進めていかれている取り組みの報告がありました。

その中で一番重要なことは「介護現場の可視化」をすることで、作業の流れの計測が重要であったとの報告がありました。コミュニケーション型ロボット「PALRO」による歌や会話のデモンストレーションはなかなか面白く、周りの声や人の顔を認識して、のぞき込むようなしぐさなど、なかなかかわいらしかったです。

見守りでは、センサーマットによる離床を教えてくれる他、異常行動の登録を行うことにより転倒転落の防止を行うこと、膀胱の拡張を察知して排尿時期を教えてくれるもの、動作がないことを察知してお知らせしてくれるものなど、バリエーションも豊富になっていました。

しかしながら、現場からの声としては、「マッスルスーツのように装着に時間がかかる」「セッティングのために重たい器材を運んでくることが必要で、準備が大変」などの理由で、導入したが利用されないというようなことも起こっているのも事実のようです。

ロボットの利用で、事故などの負担の軽減、精神的サポート、等が充実できるようになるともっと実用が広がるのではないかと思います。

さらに、AIが発達して、何かが起こったときに「相談相手になってくれる」ようになると、夜間などの対応に負担感が減ってくるのかなと思いますが・・・なかなか悩ましいところではないかと思います。

介護は「サービス」だと思います。最終的に人と人とのふれあいの中で生まれるサービスはとても大切なものだと思います。介護者の置き換えはできません。
その中で、「介護ロボット」「ICT」を利用して、「介護する人を助ける」という視点を持ち、ケアの内容を標準化し、通信インフラや情報の共有化を進めていくことができたら、ずいぶんと書類面・作業面でも楽になるのかな・・・と思いました。

機械は苦手・・・という介護者もたくさんいらっしゃると思います。・・・私もその一人・・・
そのような主婦が、1クリック、1スイッチで利用できるようなものが開発されたら、と思っているのは、私だけではないと思います。それが果たしてコストが合うのかどうか、どのようなインセンティブがついてくるのかも、課題となるでしょう。注目していきたいなと思いました。

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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