法人役員への過労死等の調査について
楢橋 信一
税務・会計このほど、厚生労働省より平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業
報告書」 が公表されました。この調査は、過労死等の要因の実態解明を行い、今後国が取り組む対策の検
討に活用する情報収集を目指して行われております。その中で、 過労死等の全体像を明らかにするために
は、雇用労働者のみならず法人役員も調査を行う必要があるとして、法人役員への調査も行われました。
報告書によりますと、法人役員の疲労蓄積度(仕事による負担度)が「非常に高い」者の割合は「医療、
福祉 」が18.8%で最も高く、「複合サービス業」が8.3%、「宿泊業、飲食サービス業」が6.7%と続い
ており、他の産業に比べて「医療、福祉」分野の高さが目立っております。次に、法人役員の「勤務日に
おける睡眠時間の充足状況」 では、「足りている」が52.4%で最も多く、「どちらかと言えば足りてい
る」が29.5%、「どちらかと言えば足りていない」が12.8%、「足りていない」が4.2%と続いており、
2割近くが睡眠時間の不足を感じております。睡眠時間が足りない理由の問いに対しては、「労働時間が
長いため」が36.5%で最も多く、「今後の事業展開等を考え、寝付けないため」が24.6%、「業績・資金繰
り等の経営状況を考え、寝付けないため」が20.4%などとなっております。
また、法人役員のストレスや悩みについては、「ある(あった)」が60.7%、「ない(なかった)」が
37.5%となっております。「ある(あった)」の回答のうち、ストレスや悩みの内容(業務関連)は、「今後の事業展開」が54.8%で最も多く、「売上・業績、資金繰り等」が49.3%、「仕事での精神的な緊張・ストレス」が33.8%などとなっており、睡眠時間の不足理由も含めてみますと、今後の事業展開、業績・資金繰りといった現下の経営状況に特に悩みをお持ちの法人役員が多いことが伺えます。
報告書は、厚生労働省のホームページに掲載されております。インターネットで、「過労死等防止対策に関する調査研究について」で検索すると、すぐにサイトへたどり着きますので、一度ご覧になられてはいかがでしょうか。
税務会計3課 マネージャー
著者紹介
- 総務部 部長
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