【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】個別事項(その7-②:その他の論点②)

長 幸美

アドバイザリー

今回は、平成30年度診療報酬改定の中医協資料より、「個別事項(その7:その他の論点)」についてみていきましょう。それぞれに特殊な療法等もあり、個別性が高い事項が含まれていますが、必要なところを見ていただけたらと思います。

今回かなり情報量が多いので、3回に分けてお送りします。
第二回目は、「医療機関と薬局の情報共有・連携」「医療従事者の多用な働き方」「公認心理師」「外来における相談連携」をお送りします。

 

【医療機関と薬局の情報共有・連携】
薬局については、「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」について、評価検討されているところであります。

その中に、在宅での効果的な薬物療法や服薬指導の推進のために、医療機関からかかりつけ薬剤師に対して検査値等や診療上の留意点等に関する情報提供の推進することを求められています。また、保険薬局からも、聞き取った情報のフィードバックを行うこと、そのフィードバックの内容を受け取る連携担当者・窓口の明確化等を検討し、在宅で暮らすことへのサポートを積極的に行うことに対し、評価をしてもよいのではないかということが議論されています。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

12月15日の中医協では、医師が求めている「調剤薬局の役割」が出てきました。
この中では「自分の処方意図をきちんと理解し、ある程度の疾患背景を理解してほしい」という要望があるようです。

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出典:中医協資料(20171215)「個別事項(その7:その他の論点_続き)より

 

連携をとることにより、より有効性の高いものとなるよう、医療機関・薬剤師の相互の連携担当者や窓口の明確化などを行う必要がある、評価を考慮してみてはどうかというような内容の議論が行われているようです。

 

【医療従事者の多用な働き方】
◆リハビリ専門職の常勤要件の取り扱い
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の女性割合は、それぞれ女性職員の割合は増加の傾向にあります。また、リハビリテーションに関する診療報酬項目については、リハビリ専門職の専従・常勤の配置要件が施設基準としてあります。

育児・介護休業法において3歳に達するまでの子を養育する労働者について、短時間勤務
の措置(1日原則6時間)が義務づけられてきています。このため、基準に適合しない・時間数が足りない等の状況がおこり問題にもなってきています。

働き方改革の中で、これらの緩和措置も議論されています。注目していくことが必要です。
リハビリ専門職が配置基準となっている診療報酬を確認しておきましょう。

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出典:中医協資料(20171213)「個別事項(その7:その他の論点_続き)より

 

◆専従要件の取り扱い
診療報酬項目においては、医療従事者が専従(他の業務との兼務が原則不可)であることを要件としているものがあります。その中でも以下のように3通りに分けられると考えられ、それぞれに従事する際には緩和措置が考慮されています。
① チームのうちいずれか1人が専従であれば可としているもの
② 担当する患者数が一定程度以下の場合は専任でも可とするもの
③ リハビリについて、当該業務を実施していない時間帯については、関連する他の業務に従事することを可能とするもの

また、医療資源が少ない地域・・・いわゆる過疎地域に対しては人員配置に対し、常勤要件の緩和や夜勤の勤務体制に対し考慮した対応がされています。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

中でもリハビリ専門職の常勤要件の取り扱いなど週一定の時間勤務を行っている複数の非常勤従事者の組み合わせなどでも可能とするなどの多様な働き方ができるような対応を認めていこうという検討が行われています。

検討されている育児・介護休業法の概要を添付します。短時間勤務などへの対応も求められていて、今後勤務管理についていろいろな状況や対応を求められてくるのではないかと思います。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

【公認心理師】
診療報酬上では心理学に関する専門諸侯として、心理に関する専門課程を修了した人を「臨床心理技術者」として評価されています。来年9月に初めての国家試験が行われる予定です。

現在の臨床心理技術者に対する評価は以下の通りになっています。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

現在のところ心理職に対し、公認心理士に統一することを検討されています。
以前勤務していた病院では心療内科で「臨床心理士」が活躍されていました。ようやくその方たちに光が当たってきたのでしょうか・・・

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

【外来における相談・連携】
患者の相談窓口の利用状況については、外来患者と入院患者を比較すると、入院患者の方が利用者は多いが、病気のことについて看護職員に相談する事例が多くなっています。
外来患者の相談内容としては「制度の利用」「経済的な理由」と同程度の約7割の医療機関で在宅ケアの相談内容が多くを占めています。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

外来における相談・連携について、医療保険以外の公的な制度利用についても相談が多いのが現状で、この実態を踏まえ、外来患者への相談使用について、他の公的サービスの提供等も踏まえ、診療報酬での対応の在り方をどのように考えていくのか、検討する必要があるようです。

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出典:中医協資料(20171208)「個別事項(その7:その他の論点)より

 

このような実態を踏まえ、「早期に退院して社会復帰できる」ように支援すること、「社会生活を送りながら疾病の治療が行える」ことが求められています。

 

<参考資料>
個別事項(その7:その他の論点)
個別事項(その7:その他の論点_続き)
個別事項(その7:その他の論点_続き)

経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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