【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】入院医療の変更点 ①急性期
長 幸美
アドバイザリー<参考>【速報】平成30年度診療報酬改定資料 告示出ました!
今回の改定では、入院料などをはじめ、根本的な報酬体系の見直しが行われました。
このことにより、医療も介護もともに、「その機能が求められる最低ライン」が基本部分の評価として整理され、プラス評価として「実績をもとに加算」として評価されるように変更になっています。
このため、「人員配置」や「施設・設備」などの基準を整備し、高い評価点数を得ていた医療機関にとっては、とても厳しい内容となっています。反面、最低ラインを維持しつつ「地道に医療機能を整備し、努力を続けてきた医療機関」にとっては、「やっててよかった」「やっと評価された」というような印象を持たれた方も多いのではないでしょうか?
これから数回に分け、入院医療の変更点について少し見ていきたいと思います。
一回目は「急性期医療」についてです。
【急性期医療のポイント】
◆急性期機能・・・10対1をベースに、7対1・10対1の機能を組み換え
⇒実績評価として、重症度・看護必要度を見る
◆在宅復帰率のカウント・・・自院の中で完結する場合はカウント出来なくなった
⇒入院料1(現7対1相当)には在宅復帰病床機能連携率が導入
◆データ提出加算が必須・・・患者割合も将来的にはDPCデータで!
【急性期一般入院基本料】
⇒現7対1と10対1を再編・統合し、下記のように整理されました。
出典:中医協資料「答申」参考資料より(20180207)
入院料は7段階に分かれ、入院料1が7対1の基本料と一緒で、入院料2~7が10対1をベースにされています。入院料2、3については、入院料1の届出実績が必要なため、この入院料4~7を後々類上げすることはできないものとされています。
上記のイメージでは入院料1~3については現7対1、入院料4~7については10対1をベースにしていると考えられていますが、現状の看護必要度25%をようやくクリアしている病院さんは、入院料5に該当してしまうということになり、減収を免れなくなります。
入院料1については重症度、看護必要度3割を要件にされていますので、かなりの重症者を受け入れる病棟ということになります。細かな要件は次の表でご確認ください。
出典:中医協資料「答申」参考資料より(20180207)
ここで注目してほしいのは、入院料2~7については、すでに10対1をベースに考えられているということです。ICUやハイケアのような重篤な患者を診る場合を除いて、急性期の看護配置は10対1でよいという判断をされているのではないでしょうか・・・
また、在宅復帰率の割合が、入院料1では8割、平均在院日数18日となっています。
この在宅復帰率は「在宅復帰・病床機能連携率」として、次のように整理され、患者のカウントの仕方が次のスライドのように変更されました。
出典:中医協資料「答申」参考資料より(20180207)
今まで、自医療機関の地域包括ケア病棟や回復期リハビリ、療養病床に転床させ、「在宅復帰のカウント」に計上していた医療機関は、この8割クリアが厳しくなることが予測されます。
これは、「地域の中の急性期の医療機能」として、「地域連携」して地域の医療資源をしっかりと活用しましょうということの現れです。
以前から、「そもそもどんな医療機能があり、地域の中で何を求められているか」ということが、とても大事になるという話をしていましたが、ここにも表れていると思います。
◆急性期一般入院基本料(1日につき)
<経過措置>
(1)平成30年3月31日時点で許可病床数200床未満の病院で7対1 一般病棟入院基本料の届出を行っている病棟が、急性期一般入院料2又は急性期一般入院料3を届け出る場合は、平成32年3月31日までの間に限り、重症度、医療・看護必要度の評価において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰを用いても差し支えない。
(2)平成30年3月31日時点で7対1一般病棟入院基本料及び病棟群単位の届出を行っている病棟は、平成32年3月31日までの間に限り、急性期一般入院料2又は急性期一般入院料3の施設基準を満たしている場合は、当該入院料を届け出ることができる。
(3)平成30年3月31日に10対1一般病棟入院基本料の届出を行っている病棟の うち、平成30年4月1日以降、急性期一般入院料7を算定する病棟については、名称変更となるが、新たな届出は必要ない。
7対1の病棟の方にはとても厳しい改定ですが、10対1の方は如何でしょうか・・・
ここでは触れていませんが、10対1で手術や救急車の受入れを頑張っておられ、夜間の看護配置等を行われている病院さんにとっては、増収が期待できるかもしれません。ぜひ隅々まで見るようにしてください。
また、まだ告示が出ているわけではありませんし、今後3月半ばまでは疑義解釈通知などにより。細かなところがルール化されることも考えられますので、順次情報をホームページでご案内いたします。
<参考資料>
〇中央社会保険医療協議会 総会(第388回) 議事次第 (平成30年2月7日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193003.html
〇第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料 (平成30年1月26日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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