【平成30年度診療報酬・介護報酬】入院料の変更点 ③長期療養病棟
長 幸美
アドバイザリー<参考>【速報】平成30年度診療報酬改定資料 告示出ました!
入院医療の変更点3回目は「療養病棟入院基本料」の再編についてお話をします。
療養病棟は25対1については今年3月末で経過措置が終わる予定となっていましたが、2年間延長することとなり、次期改定時に改めて検討することとなりました。また、医療区分2.3の該当患者割合が5割を満たさない場合の経過措置も、含め新たな経過措置として、次のイメージ図のように見直されました。
95/100で経過措置を取られていた医療機関は、看護基準が満たせない場合が90/100での算定、更に25対1を満たさない医療機関は80/100となり、更に減算幅が大きくなっています。
出典:中医協資料_「参考資料」より(20180207)
<算定要件>
(経過措置1) |
注1に規定する病棟以外の病棟であって、療養病棟入院料2の施設基準のうち、別に厚生労働大臣が定めるもの(★)のみに適合しなくなったものとして地方厚生局長届け出た場合(別に厚生労働大臣が定める基準(◎)を満たす場合に限る)に限り、療養病棟入院料2のそれぞれの所定点数の100分90に相当する点数を算定する。
<施設基準>
★(別に厚生労働大臣が定めるもの)
① 当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が 20又はその端数を増すごとに1以上であること
② 当該病棟の入院患者のうち、別表に掲げる疾患及び状態にある患者(医療区分2・3の患者)の合計が50%以上であること
◎(別に厚生労働大臣が定める基準)
① 看護職員25:1以上
② 平成30年3月 31日時点において、療養病棟入院基本料を算定していた病棟であること
<算定要件>
(経過措置2) |
注1に規定する病棟以外の病棟であって、別に厚生労働大臣が定める基準(※)を満たす場合については、療養病棟入院料2のそれぞれの所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。
<施設基準>
※(別に厚生労働大臣が定める基準)
① 当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時当該病棟の入院患者の数が 30又はその端数を増すごとに1以上であること
③ 経過措置1における届出を行っていない病棟であること
④ 平成30年3月31日時点において、療養病棟入院基本料2の注11を算定していた病棟であること
◆医療区分の適正化
【医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態】
<算定要件>
少なくとも連続して 24時間以上「項目の定義」に該当する状態にあること。(初日を含む)動脈血酸素飽和度、血圧、心電図、呼吸等のバイタルサインが、少なくとも4時間以内の間隔で観察されていること。ただし、医師による治療方針に関する確認が行われていない場合は該当しない。
なお、当該項目は、当該項目を除く医療区分3又は医療区分2の項目に、1つ以上の該当項目がある場合に限り医療区分3として取り扱うものとし、それ以外の場合は医療区分2として取り扱うものとする。
◆【療養病棟入院料】在宅復帰機能強化加算 50点(1日につき)
注:療養病棟入院料1を算定する病棟において、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、在宅復帰機能強化加算として、1日につき 50点を所定点数に加算する。
<施設基準>
当該保険医療機関又は別の保険医療機関の病棟若しくは病室から当該病棟に入院し、在宅に退院した1年間の患者数を、当該病棟の1年間の1日平均入院患者数で除した数が 100分の15以上であること
◆急性期患者支援療養病床初期加算 300点(1日につき、14日限度)
注:当該病棟に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者及び当該保険医療機関(急性期医療を担う保険医療機関に限る)の一般病棟から転棟した患者については、転院又は転棟した日から起算して14日を限度として、急性期患者支援療養病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。
◆在宅患者支援療養病床初期加算 350点(1日につき、14日限度)
注:当該病棟に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者に対し、治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援療養病床初期加算として、1日につき350点を所定点数に加算する。
◆看取りに関するルール
<施設基準>
当該保険医療機関において、厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、看取りに関する指針を定めていること
◆(新設)夜間看護加算 35点(1日につき)
<施設基準>
(1) 夜勤を行う看護要員の数は、常時16 対1以上であること
(2) ADL区分3の患者を50%以上入院させる病棟であること
(3) 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
<留意事項>
(1)夜間看護加算は、看護要員の手厚い夜間配置を評価したものであるため、16対1配置を満たしていても、各病棟における夜勤の看護要員の最小必要数を超えた看護職員1人を含む3人以上でなければ算定できない。
(2) 当該加算を算定する病棟は、入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整えること。また、身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断ではなく、当該患者に関わる医師、看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討すること。
◆褥瘡対策加算(療養病棟入院基本料の注加算)
<算定要件>
注4:当該病棟に入院している患者のうち、別に厚生労働大臣が定める状態の患者に対して、必要な褥瘡対策を行った場合に、患者の褥瘡の状態に応じて1日につき、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 褥瘡対策加算1 15点
ロ 褥瘡対策加算2 5点
(留意事項)
患者の褥瘡の状態を、DESIGN-R分類を用いて定期的に評価し、下記の要件に該当する場合に算定する。
ア DESIGN-Rの合計点が直近3か月連続して前月の合計点に比べ上回っていない場合は、褥瘡対策加算1を当該月から算定すること。
イ DESIGN-Rの合計点が直近3か月連続して前月の合計点に比べ上回った場合は、褥瘡対策加算2を当該月から算定すること。なお、入院後暦月で3月を超えない間は、褥瘡対策加算1を算定すること。
※ 有床診療所療養病床入院基本料における当該加算についても同様
さあ、如何でしょうか?
夜勤の対応や褥瘡など、多くの病院さんで対応をされていることに対し、今回評価がついています。長期の入院医療も自宅へ帰すために、また状態が不安定で医療的管理が必要な患者や自宅への移行が進みにくい方がいらっしゃる場合もあり、そのような医療度が高い療養病棟にとっては、評価がついているように思います。
また、急性期病棟や在宅扱いの介護施設からの受入れ等を頑張り、地域での生活を支援についても評価がアップしています。
まだまだ告示が出ているわけではありませんので、詳細なルールや算定要件の疑義解釈については3月半ばまで変化があるかと思いますが、新たな情報が出ましたら、ホームページに掲載していきたいと思います。
また、データ提出加算について、200床以上の病床を持った療養病床も経過措置はありますが、必須となってきました。医療区分・ADL区分もEFファイル等で提出することも念頭に置かれているようです。療養病棟の場合、事務職員も少なく、十分に手当されていないことも多いのですが、今後データ収集や分析ができない場合などは運営が難しくなっていくかもしれません。介護事業についても同様に情報を出せるところは加算として評価されるけれど、出せないところはおいていかれるような状況が見え隠れしてきました。
次回は地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟についてお書きしたいと思います。
<参考資料>
〇中央社会保険医療協議会 総会(第388回) 議事次第 (平成30年2月7日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193003.html
〇第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料 (平成30年1月26日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192309.html
経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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