【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】透析医療について その①

長 幸美

アドバイザリー

<参考>【速報】平成30年度診療報酬改定資料 告示出ました!

 

※今回の続きとなります、「透析医療について その②」も掲載しています。ぜひ、ご参照ください。

 

透析医療は、腎代替療養として前回の改定でも導入予防について評価されてきました。

血液透析は、導入すれば医療費は生命維持として一生継続していかなければならず、どの導入を予防(遅らせる)というところに評価がついていること、腎移植についても詳細な基準が作られています。

 

また、透析液の水質管理については、どの施設もできているということで、基本料金の中に含まれてくること、血液ろ過透析についても、透析液水質管理ができていることなどが要件に加わりました。

透析を安易に導入しない、院内の安全管理等の実績について評価されている改定となっています。

 

【改定のポイント】

◆透析導入予防について評価・・・医学管理料として評価

◆アウトカム(成果)・・・ろ過透析については時間による評価に組み換え(加算)

⇒診療データを蓄積していくことが求められていく

 

【人工腎臓】

◆人工腎臓基本報酬

図1

注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する。

<施設基準>

〇慢性維持透析を行った場合1

次のいずれかに該当する保険医療機関であること

イ  透析用監視装置の台数が一定以下の保険医療機関であること

ロ  透析用監視装置の台数に対するJ 038人工腎臓を算定した患者数が一定未満であること

 

〇慢性維持透析を行った場合2

次のいずれにも該当する保険医療機関であること

イ  透析用監視装置の台数が一定以上の保険医療機関であること

ロ  透析用監視装置の台数に対するJ 038人工腎臓を算定した患者数が一定の範囲内であること

 

〇慢性維持透析を行った場合3

慢性維持透析を行った場合1又は慢性維持透析を行った場合2のいずれにも該当しない保険医療機関であること

 

◆慢性維持透析濾過加算    50点・・・慢性維持透析濾過2250点は削除

注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している保険医療機関において慢性維持透析濾過(複雑なもの)を行った場合、慢性維持透析濾過加算として慢性維持透析を行った場合の所定点数に50点を加算する

<算定要件>

血液透析濾過のうち、透析液から分離作製した置換液を用いて血液透析濾過を行うこと

 

<施設基準>

透析液水質確保加算の施設基準を満たしていること

 

◆夜間実施加算

注1 入院中の患者以外の患者に対して、午後5時以降に開始した場合若しくは午後9時以降に終了した場合又は休日に行った場合は、380点を所定点数に加算する

 

◆導入期加算

注2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た、保険医療機関において行った場合には、導入期1月に限り1日につき、導入期加算として、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数を所定点数に加算する

イ  導入期加算1                   300点

ロ  導入期加算2                   400点 (新)

 

<施設基準>

イ 導入期加算1

関連学会の作成した資料又はそれらを参考に作成した資料に基づき、患者毎の適応に応じて、腎代替療法について、患者に対し十分な説明を行っていること

 

ロ 導入期加算2

① 導入期加算1の施設基準を満たしていること

 腹膜透析の指導管理に係る実績があること

 腎移植の推進に係る取組の実績があること

 

◆障害者等実施加算

注3 著しく人工腎臓が困難な障害者等に対して行った場合は、1日につき 140点を加算する。

 

◆長時間加算 (6時間以上)・・・(新設)

注 通常の人工腎臓では管理困難な兆候を有する患者に対して、6時間以上の人工腎臓を行った場合、1回につき 150点を加算する。

<算定要件>

次に掲げる状態の患者であって、通常の人工腎臓では管理困難な兆候を有するものについて、6時間以上の人工腎臓を行った場合に算定する。

心不全兆候を認める、または血行動態の不安定な患者

適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても高血圧状態が持続する患者

高リン血症が持続する患者

 

◆透析液水質確保加算         10点・・・(新設:基本報酬の加算として見直し)

<算定要件>

①     関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること

②     透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること

※    注9にかかる透析液水質確保加算は削除

 図2

 

◆慢性維持透析患者外来医学管理料

注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、医学管理を行った場合は、腎代替療法実績加算として所定点数に 100点を加算する

 

<施設基準>

導入期加算2の施設基準を全て 満たしていること

 

◆糖尿病透析予防指導管理料 高度腎機能障害患者指導加算  100点

             (名称変更:(旧)腎不全貴患者指導加算)

<算定要件>

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、高度腎機能障害を有する患者に対して医師が必要な指導を行った場合には、高度腎機能障害患者指導加算として、100点を所定点数に加算する。

<算定対象>

eGFRが 45mL/min/1.73㎡未満の患者

 

◆【新設】 オンライン診療料    70点(1月につき)

対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、オンライン医学管理料等を新設することとされました。

<算定要件>

(1)別に定めるオンライン診療料が算定可能な初診以外の患者で、且つ、当該管理に係る 初診から6月以上を経過した患者(初診から6月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限る)に対して、オンラインによる診察を行った場合は、患者1人につき、月1回に限り算定する。ただし、連続する3月は算定できない。初診料、再診料、外来診療料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は(Ⅱ)を算定する月は、別に算定できない。

(2)患者の同意を得た上で、対面による診療(対面による診療の間隔は3月以内に限る)  オンラインによる診察を組み合わせた療養計画を作成し、当該計画に基づき診察を行った上で、その内容を診療録に添付していること

(3)当該診療料を算定する場合は、当該保険医療機関に設置された情報通信機器を用いて  診察を行うこと

(4)オンラインを用いて診察する医師は、対面による診療を行っている医師と同一の医師であること

※オンライン診療料を算定する場合の処方せん料の取扱い等については、有効性や安全性等に配慮し、別に定める

<オンライン診療料が算定可能な患者>

特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料又は精神科在宅患者支援管理料を算定している初診以外の患者で、且つ、当該管理に係る初診から6月以上を経過した患者

<施設基準>

厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること

緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関において診察可能な体制を有していること(ただし、小児科療養指導料、てんかん指導料又は難病外来指導管理料の対象患者は除く)

当該保険医療機関において、一月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること

 

 

<参考資料>

〇中央社会保険医療協議会 総会(第389回) 議事次第

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193003.html

 

〇別紙1 診療報酬の算定方法 1 医科診療報酬点数表(新旧対照表)

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000193524.pdf

 

 

 

 経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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