国外財産調書の提出制度とは
佐々木総研
税務・会計平成24年度税制改正において「国外財産調書の提出制度」が創設され、居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する方は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を所轄税務署に提出しなければならないこととされ、この平成26年1月1日から施行されました。
国外にあるかどうかの判定については、基本的には財産の所在の判定について定める相続税法第10条の規定によることとされ、同条第1項及び第2項に掲げる財産については、これらの規定の定めるところによることとされています。
所在の判定として主なものを挙げると、
①動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利⇒その動産又は不動産の所在
②金融機関に対する預金・貯金・積金又は寄託金⇒その預金等の受入れをした営業所又は事業所の所在
③保険金⇒その保険の契約に係る保険会社等の本店等又は主たる事務所の所在
有価証券等については、相続税法第10条第1項及び第2項等の規定にかかわらずその口座が開設された金融商品取扱業者等の営業所等の所在によることとされています。
「有価証券等」とは具体的には次のものを言います。
①貸付金債権に係る有価証券
②社債若しくは株式、法人に対する出資又は外国預託証券
③集団投資信託又は法人課税信託に関する権利に係る有価証券
④国債又は社債
⑤外国等の発行する公債
⑥抵当証券又はオプションを表示する証券若しくは証書
⑦組合契約等に基づく出資に係る有価証券
⑧信託に関する権利に係る有価証券
「有価証券等」に係る所在の判定の取扱いを整理すると次の通りとなります。
国内有価証券等 |
外国有価証券等 |
|
国内金融機関の口座で管理 |
調書の対象外 |
調書の対象外 |
国外金融機関の口座で管理 |
調書の対象 |
調書の対象 |
上記以外 |
調書の対象外 |
調書の対象 |
なお、①偽りの記載をした国外財産を提出した場合②正当な理由がなく提出期限内に国外財産調書を提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。但し、この罰則規定の適用については、国外財産調書の提出制度について十分な周知期間を確保し、本制度の円滑な導入に万全を期す観点から、適用を本制度の導入時期よりも1年後ろ倒しし、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書に係る違反行為について適用することとされています。(従って、平成26年3月17日までに提出すべき国外財産調書については、上記罰則の適用はありません。)
コンサルティング部 2課 マネージャ
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