仮想通貨で給与を支払うとどうなるのか?

株式会社 佐々木総研

税務・会計

最近、世間をさわがせている仮想通貨ですが、インドやイギリスでは仮想通貨で給与を支払っている企業が出てきました。
仮に日本で仮想通貨による給与の支払いをした場合はどうなるのでしょうか?
そうした場合に『税法上』と『労働基準法』の制約が発生しますのでご紹介させていただきます。

  1. 税法上の取り扱い

仮想通貨の給与支払いは『給与を仮想通貨で支払う場合であっても、使用人等の役務提供の対価という性質そのものには変わりがない』といった理由から、所得税法上『現物給与』として給与と同様に課税されます

2. 労働基準法上の取り扱い

労働基準法上、賃金は「通貨」で支払わなければならないものとされています。
この「通貨」とは法定通貨(日本銀行券と独立行政法人造幣局が鋳造した硬貨)を指していますので、原則として仮想通貨での給与支払いは、労働基準法上の通貨による賃金支払いには該当しませんしかし、労働基準法には賃金を現物で支払うことが許される例外が設けられており、それは、『①法令に別段の定めがある場合、②労働協約に別段の定めがある場合、③厚生労働省令で定める賃金について確実な支払いの方法で、厚生労働省令で定めるものによる場合』、の三つに限られています。

 
よって、労働基準法上、仮想通貨での給与支払いについては、職場に労働組合が組織されている場合で、かつ、その労働組合と締結された労働協約によって仮想通貨での給与支払いが定められている場合に限られるのではないかと思われます。

 

現状、仮想通貨に関する法令の整備も不十分で、法定通貨と同様に使用するのが難しい部分はありますので慎重な対応が必要であると思われます。

 

税務会計課

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