金融緩和を縮小する出口戦略の行方について
佐藤 正典
その他日本銀行の黒田総裁は、4月9日再任後の記者会見において「前年比2%上昇の物価安定目標を堅持する考えを強調し、金融緩和を縮小する出口戦略は、物価目標の実現にはまだ距離があり検討する局面にない」と明言しています。
2期目もデフレ脱却への5年となります。日銀は19年度ごろに2%の目標を達成できると主張していますが、足元では、物価への逆風が強まっています。
1つ目は米中の貿易摩擦による世界経済に及ぼす影響であり、2つ目は、19年10月に予定する消費税の引き上げです。
また、日銀が次に打つ一手をめぐって民間エコノミストの間でも見方が分かれています。
民間エコノミストの意見は、以下のとおりです。
18年2月の消費者物価指数の上昇率は、前年比1%どまりで日銀の掲げる目標にまだ距離があり「物価目標にこだわる限り、長く動けない可能性がある」というものです。
一方では、景気が回復局面にあるうちに緩和の縮小に向かうべきだとの意見も多く、日本経済研究センターがまとめた3月の調査によると、望ましい金融政策の見直し時期について民間エコノミスト40人のうち半分が「物価上昇率が1%を安定的に上回るようになったら」と答えています。
政策が緩和を縮小する方向で変わるとすれば、最も有力視されているのが、長期金利の誘導目標引き上げです。「現状ゼロ%程度から今年12月にも0.25%ほど上げる」、「金融機関への配慮から0.3%まで引き上げるだろう」との意見があります。
金融緩和により、さまざまな問題も表面化してきており、景気回復局面のうちに政策変更し何らかの手を打つ必要があると思われます。また、景気、消費者物価、銀行金利は、私たちの生活に直結しており、注視していく必要もあります。
総務課 マネージャ
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