【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】診療報酬改定その後「看護必要度」と「データ提出加算」
長 幸美
アドバイザリー博多では筥崎宮の「放生会」が秋の訪れを告げ、彼岸花と稲穂の美しい季節となりましたね。そろそろ栗の実も出始めました。
さて、今年の改定は在宅も含めて、病床の機能分化がさらに進んできました。つまり、設備や人員配置への評価から「どのような患者を診ている病棟か」というところに重きが置かれてきました。また、介護療養病棟の後継として、「介護医療院」が出てきたところでも、「看取りの機能」を意識したものとなっています。
介護3施設の中でも、特養の役割は「看取り機能」を、老健の役割は「在宅生活の支援」を行うものと明確化されています。
以前からご案内しているように、9月までの経過措置期間が切れるものが多く、機能分化を明確にされた病床について、改めて届け出をしなければなりません。
今回はその中で、【看護必要度】と【データ提出加算】についてお話したいと思います。
【看護必要度】
これは「重症度、医療・看護必要度」といわれるもので、一般病棟の中に、どのような重症度の方が入院され、治療されているのかを判定するものです。つまり、急性期の病床については、より重症な患者をしっかりと治療してほしいということを言われているものだと思います。
今回の改定で、今まで看護師さんが目視で判定していた重症度を
Ⅰ 現在と同様の目視による判定
Ⅱ EFファイル・・・つまり「DPCデータ提出」に基づくデータによる判定
この二通りのどちらかのやり方で判定するようになりました。
この重症度の判定改定の意味合いは、以前のコラムでも記載していますので、併せてご覧下さい。
この二つの判定の仕方は、「働き方改革」の考え方が大きく影響しています。
次の改定やその先のことを考えると、「看護必要度Ⅱ」での評価に早く切り替えていけるように考えたほうが良いと思います。状態だけではなく、実際の医療の提供状況の評価をしていく必要があります。
【データ提出加算】
さて、今回の改定の特徴として、「データを出す」というところ、とても大事になってきます。療養型病床群も200床以上には必須となりました。
先述の「看護必要度Ⅱ」についてもこのデータ提出加算のデータがもとになります。
データ提出加算は、通常の施設基準と違い、年に4回のみのチャンスしかありません。
今年度はあと2回となっています。
出典:平成30年度データ提出加算に係る説明会(H30.5.16)厚労省
ここで、一番ネックになってくるのは、「診療情報管理」をどのようにするかということだと思います。100床未満の療養病床では電子カルテを導入しているところも少なく、大きな業務負担になることは目に見えています。紙のカルテからデータを蓄積していくには多くの手作業が必要です。システム導入するには、負担も大きくなってきます。
出典:平成30年度データ提出加算に係る説明会(H30.5.16)厚労省
データ提出加算の施設基準は「診療情報管理加算」の届出が必要です。
これは、データを取っていくためには基本的な「ルール」が必要で、そのルールに則ってデータを積み上げていくということが大事になってきます。
また、データ提出だけではありません。
一般病棟については、看護必要度に始まり、どこから入院し(入院経路)、どこに返っていったか(退院経路)、自宅への患者の退院比率が必要になってきます。
療養病床については、入院経路、退院経路、自宅復帰率だけではなく、患者さんの病態や医療提供度についても統計を取っていく必要があります。さらに、ADLと医療度により9段階の報酬が変更になってきますので、カルテの記載があるかということも見ていく必要があります。
これは有床診療所についても同様であり、人員が少ない医療機関については死活問題になってきます。
回復期リハビリテーション病棟については、いかに重症な状態を受入れ、リハビリの成績をしっかりと出していかなければ収益が確保できなくなっています。
非常に厳しい状況です。その状態を打開していくためには、このデータの積み上げが非常に大事になってきます。
弊社でもデータをどうとっていくかなど、しっかりとご支援できればと思っています。
一緒に頑張っていきましょう!
<参考資料>
〇平成30年度データ提出加算にかかる説明会(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/04/dl/tp20180419-2.pdf
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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