もう一つの消費税問題について
市川 隆志
税務・会計いよいよ、8%→10%へと消費税が上がる迄、1 年を切りました。カウントダウンが始まり少々ざわついておりますが、医療機関には、もう一つの消費税問題があります。今年の7 月、いわゆる中医協(中央社会保険医療協議会)の診療報酬調査専門組織である「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、明らかになった、平成28 年度診療報酬改定時における『補てん間違い』です。平成27 年の調査結果を基に、平成28 年度診療報酬改定で消費税8%への引き上げに伴う補てんについては、適切に対応しているとのことでしたが、結果的には、医療施設種類ごとに大幅な差異が発生し、以下のようになっていた事実が判明した、とのことでした。
そして、財務省も、10 月9 日の財政制度等審議会において、来年10 月に予定される消費税率10%への引き上げに伴う医療機関の消費税問題について、以下のような対応を検討する、と発表しております。「医療機関等が負担する仕入税額相当額の対応に当たっては、①医療保険制度内での対応とする ②総額において医療機関等が負担する仕入税額相当額の範囲内での対応とする ③各科間、診療所・病院間において、各々の仕入税額相当額の総額に基づき財源配分を行った上で、さらに各類型の中で看護配置基準別のデータを用いるなど、できる限り精緻な対応とする。」
厚生労働省の調査結果からは、病院に手厚く、診療所に厳しくという流れが想定されますが、財務省の見解からは、病院は機能別に分けるということが想定されますので、いずれにしても、今後しっかりと厚生労働省と財務省両省の動向を見極めながら、注視していき対策を共に検討していきたいと思っております。
経営コンサルティング部部長
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 部長
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