2019年 新年のご挨拶 『利他の心で』

佐々木総研

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平成30年12月30日の朝日新聞の一面は、『人が島が村が老いる消えるーこの国はどこに向かうのか』でした。下記にその一部を抜粋します。

「今年、日本人が45万人消えた。長崎市や富山市が丸ごと消える規模だ。今後さらに多くの国民が消える。同時に老いていく。(中略)人口減少と少子高齢化の崖を世界一のペースで転がり落ちる。人類史上初の出来事が起きている。」2019年は、先の大戦後74年目をむかえます。今、世界は自国第一主義や排他主義が大きな潮流となっています。2005年に亡くなったドラッガーが21世紀は西欧の自由、平等、博愛という近代の価値観が通じない多様化の時代に入ると書いています。次の世界がどうなっていくのか、見通せない時代となっています。

我が日本においても、1899(明治32年)年以来、出生数が年100万人以上であったのが、2016年に初めて100万人を割りました。以後、早いペースで減少し続けています。日本は、先進国で最も高齢化率の高い国になりました。2025年には団塊の世代が75才以上になり、いわゆる後期高齢者が高齢者の過半数以上になります。2040年には亡くなる人が年170万人近くになり、人口減少のピークをむかえます。出生者は年70万人以下と見込まれ、それからしばらくは毎年100万人ずつ減少するといわれています。労働力不足から外国人の受け入れが本格化しようとしていますが、多くの課題もあります。その中で、地域で支えあう仕組みづくりも始まってきました。

今、我々がやらなければならない事は働き方改革として、楽しく、生きがいを持って年齢等に関わらず働ける環境を作ることと、一人当りの生産性を上げることです。我が国はGDPでは世界第3位ですが、一人当りGDPでは2017年において世界第25位です。我が国の生産性の特徴として、製造業の生産性は高い一方、非製造業の生産性は低いという状況があります。これから先、製造業のウェイトが減少していくのは確実なので、非製造業の生産性をいかに上げるかが課題となります。常に知恵を出し工夫をして、新しい方法に取り組まなければなりません。キーワードは共生、具体的には連携と革新。その核となる考え方は「利他の心」だと思います。私の敬愛する盛和塾の稲盛塾長は利他について本の中で次のように書いています。

「誰もが皆、この現世に生まれ出てきて、一回しかない貴重な人生を必死で生きています。だからこそ、この世では森羅万象あらゆるものが共生し、共存していかなければなりません。自分も生き、相手も生かす。つまり、地球にある生きとし、生けるもの、すべてのものが一緒に生きていけるようにすること、それが利他なのです」

2019年は平成最後の年です。困難な時代の中、先人達が命をかけて、築いてくれたこの国をこの世界を次の世代へより良く引き継いでいくための一年としたいものです。

皆様のご健康とご幸福をお祈り申し上げます。

2019年 元旦
佐々木総研グループ代表
佐々木 直隆

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