【医療介護あれこれ】入院医療について「データ提出加算」②
長 幸美
アドバイザリー【回復リハビリテーション】
回復期リハビリテーション病棟については、やはり実績指数をどのように確保していくか、というところになると思います。いかに早い段階で重症者を受け入れ、効果的なリハビリテーションを行い、在宅生活に戻していけるのか、という評価は今後も続いていくと思います。
こういった観点から見ていくと、入院料2.4.6の実績指数30をクリアできない病棟にとっては大変厳しいものになるかもしれません。また、この実績指数30についても、見直しが検討されています。
回復期リハビリテーション病棟については、前述の地域包括ケア病棟とは違い、明らかに急性期病院からの受入れが多くなっています。対等先については明らかに自宅が多いものの、訪問看護の提供がないものも多くみられます。
FIMの分析結果なども細かく議論されており、現行のFIMの取扱いや、ADLの評価についても今後見直しされることもあるかもしれません。
外来への受渡機能についても同様です。「そもそも・・・」という回復期病棟の意義を見直すことが必要になるのではないかと感じております。
平成30年度の改定では、維持期のリハビリテーションについて、介護保険に移行することが決まり、実際に介護保険を持っている方の維持期のリハビリテーションが算定でき亡くなりました。対象高齢者について、果たして、しっかりとした在宅支援ができているでしょうか?もう一度自院のサービス提供を見直していただきたいと思っています。
【入退院支援】
最後に入退院支援についてです。ある在宅を支援されている先生が仰っていたことが印象に残っていますが、「患者さんは患者さんである前に、一人の生活者である」というお話をお聞きしました。ここでは、この事例については割愛させていただきますが、入院前の生活に思いをはせ、また病棟の看護師さんは退院後のその患者さんの生活に思いをはせることができれば、この入退院支援・・・何が必要なのか、何を求められているのか、というところが腑に落ちてくるのではないかと思います。
地域での生活を維持していくためには、その方の体の変化を受け入れ、必要な介護・福祉等を総合して考え支援していく必要が出てきます。それは、病院の中で突発的に起こってくる事象(急性期疾患や骨折等)だけを見ていては判断できませんし、その方の日中の介護力にも左右されてくることだと思います。
このために前回改定で検討されていることが、「入院時支援加算」という評価につながっています。また、そのほかにも、在宅での訪問看護師さんからの情報提供や、歯科医師との情報共有、ケアマネージャーさんの病院訪問についても、大きく評価されてきました。
点数の「~ねばならない」ではなく、その方の生活をどう支えていくのかということを考えていくことが「支える医療」としては必要なのだということが重要なことと思います。
これらの内容をきれいごとと受け取るか、人の尊厳を維持し、生活を支えるうえで大事なことと受け取るかで、その医療機関の価値が大きく変わってくることと思います。ぜひ考えていただきたいと思っています。
人員配置については、整理されているものがありましたので、これも一度目を通していただければと思います。実際にしっかりと対応されていた病院様では、この評価がつく前から、必要人員として、考えておられました。また、これらの対応をすることにより、ベッドコントロールができて、緊急対応が減ったということもお聞きしております。
病棟の複数人員や、急性期入院基本料1から2や3に下げることにより、対応する人員を考えておられる病院様や、その人員を割くにあたって業務内容(配分)の見直しを行った病院様もあるようです。
働き方改革(負担軽減)ということも取り組むことにより、良い効果が出ている病院様もありますね。
入院医療について、3回分の中医協の議論等を合わせて考えていくと、やはり機能分化を行うことと自院の強みは何なのか、地域の中で何を求められ、どのように支えていくのか、ということを考えていくことが必要になってきているのではないか、という思いを新たにしています。
次回は、在宅医療について、話を進めていきたいと思います。
<参考資料>
〇中医協資料:入院医療(その1)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000566817.pdf
〇中医協資料:入院医療(その2)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000569130.pdf
〇中医協資料:入院医療(その3)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000572688.pdf
〇社保審資料:
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210433_00008.html
・令和2年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)
・医師の働き方改革、タスク・シフト/シェア
・令和2年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)に関する参考資料 /など
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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