【令和2年度診療報酬改定】連携で生活を支える「栄養食事指導」

長 幸美

アドバイザリー

今回の改定で、私が注目していることの一つに「栄養食事指導料」があります。
これは、管理栄養士の業務内容の変化とともに求められている役割が変わってきていること、活躍の場が病院内から地域へ広がっていることを示していると思います。どのように変化しているのか、少し整理してみましょう。

前回の改定では、「口から食べる」ということを重視し、入院患者であっても「患者の嗜好も踏まえて、食事を食べてもらう」ことに対し、評価・工夫を行うことが推奨されていました。また、「施設と病院の連携」や「在宅療養を支援する方への情報提供」などを通して、「食べる」ということを重要視されていたと思います。歯科の8020運動もそうですし、口腔ケアや摂食療法、食事指導の対象者の緩和などもありました。

今回の改定では、この「口から食べる」ための支援に加え、「生活習慣病等に対し、継続的なフォローアップ」を行うための方法が2点見直されています。

1点目は、情報通信機器による外来栄養食事指導料の評価です。

外来栄養食事指導(情報通信機器の活用)の見直し(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要」より)

生活習慣病をはじめとする疾患では「食事」「運動」「服薬」が治療管理の大きな柱となります。将来的に悪化させないためには、継続的な管理が重要となります。オンライン診療等の導入により、毎月通院をしなくても、継続的な治療管理を受けられるようになりました。同様に、栄養食事指導についても、1回目は対面での指導が必要ですが、2回目以降、電話等の情報通信機器を利用して実施することができるようになりました。

2点目は、「外来栄養食事指導料2」の新設です。「在宅患者訪問栄養食事指導料」にも同様に新設されています。
これは、他医療機関の管理栄養士若しくは都道府県の栄養士会が設置・運営を行う「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が対面で必要な栄養指導を行った場合に算定ができるものです。

栄養食事指導の見直し(出典:厚労省「令和2年度診療報酬改定の概要」より)

これまで、診療所の先生方にとっては、「管理栄養士がいないから栄養指導をしたくてもできない!」というジレンマがあったと思いますが、近隣の病院等の管理栄養士さんと連携することで、指導を行うことができるようになりました。これは画期的なことだと思います。
また、これは、病院としてもメリットがあります。管理栄養士を通して、地域の中のクリニックとのより深い連携を図ることができるようになるからです。
診療所の先生方、また管理栄養士を置いていらっしゃる病院の先生方、地域のためにも、是非一度考えてみられませんか?

 

<参考資料>
〇厚労省:令和2年度診療報酬改定の概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html

※01令和2年度診療報酬改定の概要(全体版)をご覧ください。

〇厚労省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html

※告示、通知、疑義解釈等はこちらをご参照ください。

医業経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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