【令和2年度診療報酬改定】運動量増加機器加算について

長 幸美

アドバイザリー

リハビリテーションは改定のたびに様々な議論が行われています。今回も、「リハビリテーション実施計画書」の位置づけが明確化されたり、脳血管疾患リハビリ(Ⅱ)の施設基準について、言語聴覚士のみで届出が可能となったり、呼吸器リハビリテーションが言語聴覚士も行えるようになったりといくつかの改善点がありました。
今回のコラムでは、その中で新設された「運動量増加機器加算」について、取り上げてみたいと思います。

そもそも、「運動量増加機器」というものはどういったものでしょうか?

この「運動量増加機器」は脳卒中や脊髄損傷等による運動機能障害に対し、理学療法士等が行うリハビリテーションを補助するものであり、運動量を増加させるため上記医療機器を用いた上肢・下肢のリハビリテーションについて議論され、評価がついたものです。これは、リハビリテーション総合実施計画書の注5の加算として新設されました。
また、疑義解釈(その1)の中で、「特定診療報酬算定医療機器の定義等について(通知)(令和2年3月5日保医発0305 第 11 号)に掲げる定義に適合する医療機器が該当する」と回答されています。

次の表が通知の抜粋になります。

Inked運動量増加機器加算に指定される機器_LI(出典:厚労省「特定診療報酬算定医療機器の定義等について(通知)」より)

この内容を見ると、いったいどんなものが対象となるのか?という疑問がわいてきますね。その内容については、中医協の資料の中で、解説があります。

リハビリテーションにかかる研究報告等について(20190918中医協資料より)(出典:中医協「20190918 個別事項(その1)」より)

例えば、一般的によくある「エアロバイク」「トレッドミル」は上記の医療機器に合致しないと考えますし、ロボットスーツ「HAL」の一般名称としては、「生体電位反応式運動機能改善装置」となっていますのでこちらも算定は不可であると考えられます。

ただし、わかりにくい内容になっていますので、さらに、医療機器を購入された業者にもご確認をいただくことと、今後の疑義解釈には十分ご注意いただければと思います。

<参考資料>
〇厚労省:「特定診療報酬算定医療機器の定義等について(通知)」_令和2年3月5日保医発0305第11号
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000602880.pdf

〇中医協:個別事項(その1)(リハビリテーション、医薬品の効率的かつ有効・安全な使用)_令和元年9月18日
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000548708.pdf

医業経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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