【医療介護あれこれ】COVID-19対応における「院内トリアージ実施料」の算定について
長 幸美
アドバイザリーこのところ、「COVID-19感染症対応における診療報酬上の臨時的取扱い」について、厚労省から臨時的・特例措置が出されています。その中で、クリニックの先生方にも関係がある「院内トリアージ実施料」の算定について、整理してみたいと思います。
【院内トリアージ実施料(300点)】
これは、院内トリアージ体制を整えている保険医療機関において、夜間、休日または深夜に受診した初診患者に対し、来院後速やかに患者の状態を評価し、患者の緊急度区分に応じて診療の優先順位付けを行う「院内トリアージ」が行われることに対して評価されたものです。
従って、時間内の受診者や再診の患者には算定ができませんし、患者が一人だけの場合はトリアージする必要がないのですから算定はできません。
「院内トリアージ実施料」は施設基準の届け出が必要で、その基準は以下の通りです。
① 院内トリアージ実施基準を定め、定期的に見直していること
実施基準の内容には以下の三点が含まれていることが必要
・トリアージ目標開始時間及び再評価時間
・トリアージ分類
・トリアージの流れ、再評価を行うまでの流れ
② 院内掲示と説明
・トリアージを行う旨を院内掲示し、説明が必要
③ 専任の医師又は救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師の配置
施設基準の届け出が必要なため、対象患者があったからすぐに算定できるものではありません。また、この実施した内容については、診療録の中にも記載しておく義務があります。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、外来診療を行う先生方の負担と感染防護策等の手間に対し、時限的・特例措置が定められています。
次の項で、どのようなものか、見ていきましょう。
(出典:中医協_総―6(令和2.4.8(改)審議会資料より)
【COVID-19の臨時的・特例的措置】
外来診療及び訪問診療に対し、「新型コロナウイルス感染症又は疑いの患者」の診療に際し、「必要な感染予防策を講じたうえで実施」されるものを評価し、臨時的・特例的に、この「院内トリアージ実施料」の算定が認められています。時限的措置のため、収束するまでの間の措置となります。
■質問:外来での対応は、発熱者を別の場所に待機させる程度でも算定できますか?
Answer⇒令和2年4月24日発出の事務連絡(新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の臨時的な取り扱いについて)の問3の答えの中に「新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行うこと。特に、「5院内感染防止」及び参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考にすること」とあります。
(出典:新型コロナウイルス感染症にかかる感染管理(国立感染症研究所))
標準予防策(スタンダードプリコーション)に加え、ゴーグルやフェイスシールド、長そでガウン、手袋を装着することが必要になると考えます。
なお、訪問診療時も同様と考えます。
■質問:「疑い患者」でも算定が可能と記載がありますが、「疑いの範囲」についてどのように考えればよいでしょうか?
Answer⇒「発熱等の症状」がある患者及び渡航歴等がある患者、濃厚接触者である患者等が考えられます。
【終わりに】
この「新型コロナウイルス感染症」の対策は、診療報酬だけでなく、様々な視点から毎日膨大な情報が出されています。これまでの常識では考えられないような、特例的な措置もとられていますので、何か疑問がある場合には、「診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その10、14、18)」などを確認するようにしましょう。
厚労省のホームページ上に特設ページがありますので、そちらから最新の情報を確認するようにしましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00088.html
弊社ホームページ上からもニューストピックスに掲載をしておりますので、どうぞご活用ください。
<参考資料>
〇NIID国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
〇厚労省:新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第2版」2020年5月18日
https://www.mhlw.go.jp/content/000631552.pdf
※これは、2020年3月17日に第1版が発行されたものを2020年5月14日現在の情報を基に作成されたものです。最新の情報は国立感染症研究所等のホームページから入手するようにしてください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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