【医療介護あれこれ】目標設定支援・管理の診療録の記載について(QAより)
長 幸美
アドバイザリー「目標設定等支援・管理料」に定められているカルテの記載について、この目標設定等支援・管理シート」を診療録に添付したら、カルテ記載は必要ありませんか? というお問い合わせをいただくことがあります。
今回は、このカルテ記載についてみていきましょう。
そもそも「目標設定等支援・管理」とは、「要介護被保険者等に対するリハビリテーションの実施において、定期的な医師の診察、運動機能検査又は作業能力検査等の結果、患者との面接等に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が患者と共同して、個々の特性に応じたリハビリテーションの目標設定と方向付けを行い、またその進捗を管理した場合に算定する」というものです。
つまり、どういうことかというと、治療のためのリハビリから生活を支える介護保険のリハビリテーション(維持期リハビリ・生活期リハビリ)へスムーズに繋ぎ、地域の中での暮らしを支えていく役割を担ってほしい、ということだと思います。
医師の役割として、この多職種が共同して作成した「目標設定等支援・管理シート」を患者に交付し、写しを診療録に添付することとされています。
中身としては、日常生活の自立度をバーサルインデックス(BI)又はFIMにより評価し、心身の機能や活動、社会参加において、どのようになりたいか(目標)、その目標を達成するために必要なリハビリテーションの内容を検討するものです。
(出典:厚労省「診療報酬算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)医科様式集」より)
具体的には、これまでの生活の中から作成時点での患者の機能予後を予測し、、「一人で買い物に行く」「孫と遊ぶ」「庭いじりをする」「一人でトイレに行く」「囲碁教室に行く」など、の目標を立て、その実現のためにどのようなリハビリをするか、ということになると思います。生活の中に楽しみを見出していくことが大事かなと思います。
さて、本題に戻しましょう。
カルテの記載は、今回の改定において、文書による説明や計画書などに記載されているものは、カルテへの添付を条件に、重複して記載しなくてもよい。とされてきました。
今回の「目標設定等支援・管理シート」もカルテへの添付が要件となっています。従って「ADLの評価」「目標」「支援内容」については、この「目標設定等支援・管理シート」に記載してあれば、またその説明内容についても、このシートを使用して説明するので、改めて記載する必要がありません。
点数表のなか、通知文にはどのように書いてあるでしょうか?
(出典:厚労省「診療報酬算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)別添1」より抜粋)
カルテの中の説明内容等の記載については、医師が「目標設定等支援・管理シート」に基づき説明を行い、「その内容、当該説明を患者等がどのように受け止め、どのように反応したかについて、診療録に記載する」とあります。
従って、目標設定等支援・管理シートへの記載事項を重複して記載する必要はなく、その内容や説明に対し、患者の反応とどのように発言していたか、ということを記載すればよいと判断いたします。
これはあくまでも、「介護保険への移行をスムーズに行うこと」が目的とされています。
重複記載を減らすことも業務改善の一つです。皆さんカルテの記載を今一度見直してみましょう!
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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