【医療介護あれこれ】無診察診療について(QAより)
長 幸美
アドバイザリー今回のテーマは「無診察診療」について考えてみたいと思います。
「美容のための注射や投薬をエステサロンと提携して実施しようと思っていますが、注射だけをクリニックで行う場合、自由診療だったら医師の診療はいらないですか?」
さあ、皆さん、どのようにお考えになるでしょうか?
「自由診療なんだから、いいんじゃないの?」とお考えでしょうか?
ちょっと待ってくださいね、自由診療とはいえ、医療行為については、制限があります。
まずは、医師法を見ておきましょう。
【医師法第20条】
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。
但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
ここにいう「診察」とは,視診、触診,聴診,問診,その他手段の如何を問わないが、現代医学からみて疾病に対して、一応の診断を下し得る程度の行為でなければならない、とされています。
つまり、診察を行わないで、治療や診断をしてはいけないということが法律の中で規定されているのです。
さて、今回「自由診療」なのだから、というお声もありました。しかし、医師法の中で「自ら診察しないで治療を行うことはしてはならない」という規定がありますので、医療行為を行う以上、「診察を行い、医療行為を行う」ということは必要だと判断されます。保険請求するかどうか、自費でもらうかどうかはその次のルールということになるでしょう。
今回、「無診察診療の禁止」について考えていきました。「診察」の在り方は、オンライン診療」の在り方にも影響してくるので、これを機会に、一度考えてみてもいいのではないかなと思います。
医療経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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