【医療介護あれこれ】「栄養ケア・ステーション」について
長 幸美
アドバイザリー令和2年度診療報酬改定で出てきた「栄養ケア・ステーション」ですが、皆さんはご存知でしょうか? 今回はこの「栄養ケア・ステーション」について一緒にみていきましょう。
近年の診療報酬・介護報酬の改定において、「口から食べる」ということについて、大変重要視されてきています。地域の生活を支えるという意味では、この「口から食べる」ということはとても重要なことで、さまざまに評価がついてきています。
診療報酬点数上では、「外来栄養食事指導料2」として、院内に管理栄養士がいないクリニックでも、外部の管理栄養士の支援を受けつつ、栄養指導を行うことに対し診療報酬上の評価がついてきました。
医療機関で管理栄養士を雇い入れている場合は、上記「外来栄養食事指導料1」で算定しますが、当該診療所以外の管理栄養士が栄養指導を行った場合は「外来栄養食事指導料2」若しくは「在宅患者訪問栄養食事指導料2」で算定することになります。つまり、他医療機関の管理栄養士や「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士による栄養指導にも診療報酬がついてきたということになります。
そこで、出てきた「栄養ケア・ステーション」ですが、調べてみると、日本栄養士会が統括し、各県の栄養士会がまとめておられることがわかってきました。
また、業務内容は大きく二つあり、
① 認定栄養ケア・ステーションの業務・・・派遣による栄養指導等
② イベントの栄養相談や講演会等の講師派遣
そしてこの「認定栄養ケア・ステーション」の業務が、診療報酬の中で評価されているものに該当してくるようです。
【認定栄養ケア・ステーション】
■福岡県では現在(7月1日)3か所・・・栄養士会、大学、調剤薬局が運営
⇒福岡県栄養士会の委託業務となるようです。
■業務の形態は2種類
①医療機関とステーションの委託契約、
②無料職業紹介により管理栄養士のパート採用を紹介する
■費用・・・委託契約の場合、ケアステーションの規定により、3,000円以上
これは、「在宅訪問栄養指導管理料」を想定されているとのことです。
外来栄養食事指導料では、1回目でも2,500円、2回目以降であれば、1,900円の診療報酬となりますので、委託でお願いするのは難しいかもしれませんが、無料で栄養士会に求人広告を出すことができ、パート採用の紹介を受けるシステムもあるようです。
「認定栄養ケア・ステーション」の認定を受けるためには、栄養士会に入っていることや生涯教育を受けていることなど、いくつかのハードルがあり、日本栄養士会に申請をして認定を受けていくことになりそうです。
実際に医療機関からの依頼を受けて、活動されているようですが、認定栄養ケア・ステーションの数が少なく、福岡県では福岡市でのサービス提供が主のようです。
今後、「住み慣れた地域で暮らし続ける」ことを支えていくためには、「口から食べる」ということは大きな課題になるのではないかと思います。
「健康薬局」などの考え方が出てきて、健康増進や予防に関しても意識が高まってきています。今後さらに需要が高まり、調剤薬局にも管理栄養士を置き、栄養管理や食事について、トータルで生活を支えるサービス提供をするところが増えて行くのではないかと思います。「栄養ケア・ステーション」はこのようなニーズにこたえる形で、今後に期待されるのではないでしょうか。それと同時に、管理栄養士の活躍の場は、その方の考え方により、どんどん広がって行くのではないかと予測しています。
一方医療機関では、医学的な観点から「重度化予防」の為に栄養管理や栄養食事指導を実施されるケースも増えていると思います。「働き方改革」により、フリーランスの管理栄養士さんも増えてくるのではないかと予測していますが、医療機関の管理栄養士さんも、栄養管理だけではなく、栄養食事指導や訪問栄養指導などにより、「口から食べる」を支える取り組みを考えてみては如何でしょうか?
<参考資料>
〇福岡県栄養士会
http://fukuoka-dietitian.or.jp/
〇栄養ケア・ステーション
http://fukuoka-dietitian.or.jp/care/
〇日本栄養士会栄養ケア・ステーション認定について
http://fukuoka-dietitian.or.jp/certified_facilities/
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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