【医療介護あれこれ】アンケート調査について
長 幸美
アドバイザリー商業施設や飲食店だけではなく、最近では医療機関でもアンケートやご意見箱を置いていることが当たり前になってきました。それと同時に、心無い個人攻撃や誹謗中傷の投書があり、心を痛めている医療機関も多いように思います。
今日は院内のモチベーションもアップし、接遇や業務改善につなげている事例をご紹介したいと思います。
【目的を明確にする】
ただ単に「何か当院にご意見があればお書きください」と書いてしまうと、気に入らないことがあった時に「意見」として吐き出してしまうことになります。「意見」という言葉が持つイメージがどうしても批判っぽく感じられるからではないかと思います。
「皆様からの声を医療機関の運営改善に活用したい」「そのための知恵を貸してほしい」という目的を明確にしたら、攻撃的なアンケートが減ったということもあります。
【チェック方式にする】
何が聞きたいのかを誘導するやり方です。チェックした最後には自由記載欄を作ります。私たちの思いつかないことを教えてくださいというメッセージになります。
■待ち時間について
待ち時間のクレームの多くは、「いつ呼ばれるかわからない」「待合室の椅子の上で動けない」ことへの不満が多いと思います。対策としてやれそうなことをあげてしてほしいことをチェックしてもらい最後に「自由記載欄」を設けると、前向きな意見がいただけることがあります。
<事例>
小児科では特に、待ち時間が長くなると子供の機嫌が悪くなるため、また、一般の診療所でも風邪をはじめとする感染症の場合、待合室で待機するのがつらい、などの声が多く、アンケートの結果により新たな以下の取り組みを開始した事例があります。
① 時間枠での予約診療を取り入れた診療所
② 駐車場に向けて電光掲示板を取り付け、番号札の番号が出たら診療所内の待合室に移動する(現診療の後三人目の人まで案内をしている)
③ ポケットベルを貸与して、あと5人になったところで呼出しをする(病院)
■説明・案内等について
説明が分かりやすかったか、接遇がどうだったのか、という設問にチェック方式で答え、最後に「本日のベストスタッフを教えてください」ということを記載してもらう。
【プラス思考のアンケート】
■設備・環境について
玄関、受付、待合室、診察室・・・など、設備や待つ時間を過ごす過ごし方について、「困っていること」「こう改善したら安心できる」などの提案型のアンケートにしている医療機関があります。
■こんな病院になってほしいな、スタッフの方へありがとう、ということを、花柄の用紙に書いてもらい、ご自身で掲示板に貼ってもらう医療機関もあります。投稿してもらってスタッフからのお返事を添えて掲示している医療機関もあります。
「ありがとうの輪を広げよう」というテーマで、実施されているようですが、職員は頑張るみたいですよ!
【無記名にしない】
書いた人がある程度わかる状況を作り、事実確認を行うことも大事です。
「初回か2回目か、毎月来ているか」「性別」「診療科」・・・など、当たり障りがないことを記載してもらうそうすることで、「アンケートにこんなこと書かれているのだけれど、何か心当たりある?」と事実確認することができます。
ある医療機関では、記名していない場合はアンケートを開かない、というルールを作っている医療機関もあります。
最後に、これらのアンケートやご意見箱に入れられているものについては、院内で検討したこと、できることもできないことも、フィードバックすることがとても大事です。
厳しい指摘を受けた場合でも、そこから、どんなふうに院内で取り組むのか、ということを示していくことがとても大事だと思います。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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