【医療介護あれこれ】資格過誤の取扱いについて(QAより)
長 幸美
アドバイザリーレセプト請求をしていく中で、「返戻」の理由として多いものの一つが、「保険の資格過誤」による返戻です。いわゆる、「保険証の情報が間違えている」若しくは「保険証の資格がない」という状況があり、医療費の支払いができないため、レセプト自体が戻されてきます。
余談ですが、来年3月から開始を予定されている「オンライン資格確認」が実現すれば、この「資格過誤による返戻」は理論上なくなるお話になりますが、主保険の情報しか入らない状況では、公費・生保も含めた資格情報の過誤は、ゼロにはならないのではないかと思われます。今後の開発を期待したいところです。
さて、話を戻しましょう。単に「保険証の番号の入力間違え」で返戻になっているのであれば、正しい番号を記載して、「再請求」をかければ問題はありません。2か月後に入金されてきます。
問題は、保険の負担割合が変わった場合や、社保から国保、国保から後期高齢者、など保険自体が変わった場合などの取扱いです。
このような場合、保険の資格がなくなった段階で「保険証は返納する」ということが義務付けられていますが、なかには、「新しい保険証が手元に来るまでは使える」と思っておられる方もあるようで、窓口では退職や引っ越し、就職などの事由が分からずに資格がない保険証を確認するケースもあります。こういった場合には窓口には非がないので「返戻してもいいですか」と問い合わせがあった時に応じないこともできるのですが、かかりつけの患者さんの場合など、なかなか「返戻には応じられません」ということをいえない場合もあります。
私も病院時代に経験がありますが、応じなかった場合は、患者さん自身が保険者に出向き、全額医療費を支払い、正しい保険証での還付請求を行うなど、かなり手間がかかることになります。社会保険事務所と市町村役場をいったり来たりすることになり、現実では、かかりつけの患者さんの場合は返戻に応じることが多かったです。風邪などの一見さんの場合や救急外来の場合は、その後のコンタクトが取れない場合があるので、その時の状況により、判断していました。
返戻に応じた場合は、患者さんに連絡を取り、正しい保険証に切り替え、一部負担金の過不足の精算も医療機関の窓口で行うことになります。限度額認定証を使う患者さんの場合など、県をまたいだ場合や国保から社保になった場合など、取り扱いが変わりますので、その都度該当する保険者に連絡をして対応を確認していきましょう。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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