【医療介護あれこれ】デイサービス事業所への訪問診療(QAより)
長 幸美
アドバイザリー先日「デイサービス利用中の患者に訪問診療を提供できるのか」という内容の質問が入ってきました。さて、皆さんどう思われますか?
今日は、デイサービス利用中の訪問診療について考えてみましょう。
このQAの答えから言うと、「デイサービス事業所への訪問診療及び往診は算定できない」ということになります。
そもそも「訪問診療」とは、どのような場面で実施されるものでしょうか?
在宅医療は、利用者の住居形態により、利用が制限されています。その居住場所により、訪問診療及び往診が「できる」「できない」の4パターンが考えられます。
【訪問診療も往診もできるパターン】
患者が「自宅」や「サービス付き高齢者向け住宅」「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」「特定施設」で暮らしている場合です。
【訪問診療に制限があるが、往診はできるパターン】
この中には三つの区分があります。
① 小規模多機能型居住介護・看護小規模多機能型居住介護
② 特別養護老人ホーム
③ 短期入所生活介護
① の場合、利用者が「宿泊サービス」を受けている日のみ訪問診療や往診が可能ですが、サービス利用前30日以内に患家で訪問診療等を算定している場合は、同一の医療機関医師により訪問診療を行った場合は算定ができます。但し、退院日から宿泊サービスを受けた場合と末期の悪性腫瘍の場合は例外措置があります。
② 特別養護老人ホームでは医師と看護職員の配置が義務付けられていますので、配置医師による訪問診療や往診の算定はできません。配置医師以外の医師が訪問診療を行う場合は「専門外の診療」「緊急の場合」である場合に配置医師の求めがある場合等制限があります。
③ 短期入所生活介護、いわゆるショートステイですが、医師と看護職員の配置義務があり、配置医師による訪問診療や往診は算定できませんが、①と同様に例外規定が設けられています。
【訪問診療は不可だが、往診はできるパターン】
これは「短期入所療養介護」の場合です。同じショートステイでも、「短期入所生活介護の場合は例外規定がありましたが、短期入所療養介護の場合は、いかなる場合も訪問診療は算定できません。そもそも、短期入所療養介護は「療養病床は介護老人保健施設等」が実施する宿泊サービスで、「医療型ショートステイ」といわれ、医師及び看護師が配置されていて、日常的な医療ケアが必要な患者が利用することになっています。配置医師以外の往診は可能です。
【訪問診療も往診もできないパターン】
これは、デイサービスの利用者の場合です。デイサービスは「居住場所ではない」ため、訪問診療も往診も算定はできません。
ここで重要なことは、「住まいの場所により利用できるサービスが異なってくる」ということです。これは在宅医療ならでは・・・のことだと思います。「住まい」の特性をしっかりと医療側が把握して、置く必要があります。
それでもデイサービス中に「患者さんの具合が悪くなった」という事態は起こりえることだと思います。その際にどのような対応をするのか、検討していただけたらなと思います。
簡単に言うと、「医師が配置されているか、否か」「住まいかどうか」により変わってくるということを理解し、その状況により判断していくことが必要だと思います。
また、2番目の「訪問診療に制限があるが、往診はできるパターン」については、細かな条件がありますので、実施される前にしっかりと条件を確認されることをお勧めします。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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