働き方を考えてみました
楢橋 信一
その他出口治明著『自分の頭で考える日本の論点』(幻冬舎新書刊)の中に、「日本人は働き方を変えるべきか」との章があります。そこでは、なぜ長期間にわたり日本の労働生産性が主要国と比べて低いのか、日本がモデルにすべき国や社会はどこか、日本人はいかに働き方を変えるべきか、という点について論じられており大変示唆に富む内容が盛り込まれています。
一端をご紹介しますと、「日本はいまだに戦後の製造業の工場モデルを引きずっており、世界の産業構造の変化に遅れを取っている」と指摘しております。これまで長く世界を牽引した製造業に必要なのは、土地・資本・均質な労働力でした。
一方、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に代表される世界の新興産業を生み出す原動力は「ダイバーシティ(人種・宗教・年齢・性別・障がいの有無などの多様性の尊重)」と「高学歴」の2 つのキーワードにまとめられるとのことです。「ダイバーシティ」とは、新しいアイディアを生み出す土壌であり、新しいアイディア=イノベーションは「既存知」の新しい組み合わせで、この既存知間の距離が遠いほどユニークなアイディアが生まれるということです。
さらに、「高学歴」とは、何も大学院に行くことだけを意味するのではなく、就職してからもずっと学び続けることができる社会であることを指しているということです。翻って現在の日本を見ると、「ダイバーシティ」が進んでなく(特に女性の社会進出)、長時間労働からの脱却が遅れ構造的に勉強をしない社会に陥っていると問題提起しております。
さて、新しいアイディアを生み出すためには脳を活性化する必要もあるそうです。脳は、疲れやすい臓器であるため適度に休ませるとともに、刺激を与えるためのインプットが必要であると指摘しております。ここでは、必要なインプットとして、「人・本・旅」を挙げております。具体的には、たくさんの人に会う、たくさんの本を読む、旅は文字通りの旅行だけではなく、遠近を問わず人気を集めている店など、面白そうなところに足を運んでみることが旅の本質と位置付けております。
つまり、著者の言う働き方改革とは、長時間労働を前提とした「メシ・フロ・ネル」の生活から「人・本・旅」の生活に切り替えるということです。私も仕事が終わった後や休日に、学びや読書の機会を少しだけ設ける努力をし、趣味の登山で未知の世界の開拓や新たな出会いを求めたいと考えていたところ、そのような時間を大切にすることが新しい仕事の創出に結び付くということを学び取ることができ、目の覚めるような思いをした次第です。
総務課 マネジャー
著者紹介
- 総務部 部長
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