【医療介護あれこれ】在宅生活で利用できる介護サービス③
長 幸美
アドバイザリー地域の中で住み続けるために在宅生活で利用できる介護サービスとして、今回は「地域密着型サービス」を取り上げてみたいと思います。
この地域密着型サービスは、基本的に「地域の中で暮らし続ける」ということを支えていくことを目的にされています。大まかには、地域密着型特養に代表される小規模な住まい機能(ほかにグループホームなど)、「泊り、通い、訪問」のサービスが一体化して行われる「小規模多機能型居宅介護」、定期的な見守りや介護を提供する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」というものです。
【小規模多機能型居宅介護】
これは、利用者の状況に応じて、「通い」を中心として、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで日常生活上の支援や機能訓練を行うものです。事業所として、「泊り、通い、訪問」という3種類の介護保険サービスを一体として提供するため「多機能型」といわれています。
介護保険サービスは、ケアプランに基づき、「泊り(ショートステイ)」「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」、それぞれのサービスごとに、サービス提供内容を決めて、契約する必要がありますが、この小規模多機能型居宅介護は、一つの契約により臨機応変なサービス提供を受けることが大きなメリットになると思います。
また、小規模な事業所が多く、「泊り・通い・訪問」どのサービスを利用しても、同じ事業所の職員が対応してくださるところも安心材料のひとつではないでしょうか? 頻繁に担当者が変わるなど、不安や信頼関係が築けるか等の心理的負担が少なくなります。
また、月額定額制となりますので、個別対応の介護事業の組み合わせのように、毎月の介護サービスの単位数を気にする必要はなくなります。
例えば、週2日の通いをベースに、入浴は自宅で訪問サービスを利用することもできますし、家族の負担が増えたときに、ショートステイを利用することも可能です。
高齢者、特に認知機能に問題がある場合など、家族は心配やどうしてできないのだろうという思いが先走りがちですが、家庭での生活をベースにしながら、トータルで支えてくださる施設は安心なのではないかと思います。
【定期巡回・随時対応型訪問介護看護】
これは、自宅に居ながら定期的にヘルパーや看護師が定期的に巡回するような機能を持ち、さらに何か異変時に臨時的対応も行うサービスになります。このため、日常生活の中で、定期的な見守りが必要な場合や一定の介助・支援が必要な場合など、便利なサービスではないかと思います。
コールセンターの機能が必要で、24時間の随時対応など、人員の確保やサービス提供をどう組んでいくのかがポイントになってきますが、こちらも寝たきりの方など、定期的な見守りと支援で家庭内での暮らしを支えていくためにはとても大事なサービスではないかと思います。
このサービス開始時の説明会では、「ナースコール対応を在宅で生活しながら受ける」とお聞きし、吃驚したものですが、24時間365日の「生活を地域で支える」ことは容易ではありません。しかし、定期的にインスリン注射が必要な場合や、服薬管理が欠かせない場合、食事や飲水、排せつなどに声掛けが必要な場合、平日の日中ひとりになる時間がある(介助者が仕事をしている場合)、など効果的なサービスになるのではないかと思います。
【まとめ】
今回3回シリーズで、「在宅生活で利用できる」サービスを中心にまとめてきました。
クリニックの先生方や看護師さんは、このようなサービスの特徴を知っていると、患者さんの状況や家族様からのご相談のときに、患者さまやご家族のご要望や環境に応じたサービスを繋いでいくこと・相談することができるのではないかと思います。
これを機会に、クリニックの近隣の介護サービスにどのようなものがあるか、見てみるのもいいかもしれません。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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