【医療介護あれこれ】グループホームの医療連携体制加算(QAより)

長 幸美

アドバイザリー

先日私のもとへ、こんな質問が立て続けに2件きました。
今回の介護報酬改定においても、グループホームの医療連携体制加算については、議論されていました。これから、「地域での生活を支援する」ということでは、とても意味深い加算ではないかなと思います。皆さんも一緒に考えていただけるといいなと思います。

Q1 訪問看護ステーションを立ち上げたばかりです。認知症グループホームへの訪問を予定しています。医療連携体制加算が算定できるのではないかと思いますが、注意点等を教えてください。
Q2 医療機関で訪問看護を行っております。グループホームから訪問看護師に連携医療医療機関として訪問看護師の派遣の依頼を受けています。医療処置や緊急対応、
日常的なサポートをしてほしいということですが、このようなことができますか?

さて、皆さんでしたら、どのように対応されるでしょうか?

A この加算は、医療職の配置が義務付けられていない介護事業所や障害者事業所等が「医療連携機関等との連携により、日常生活の相談や、緊急対応、医療処置が行える体制を確保した場合」に加算できるものです。
例えば、グループホームの場合は、環境の変化に影響を受けやすい認知症高齢者が、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)において生活を継続できるように、利用者の状態に応じた医療ニーズに対応できるように看護体制を整備した場合に、グループホームが算定します。

訪問看護ステーションとしては、グループホーム等の介護・福祉事業所と委託契約をして、介護・福祉事業所が24時間365日医療面の不安がないようにサポートし、グループホームから何らかの報酬(委託料)を得ることになります。

【医療連携体制加算】
加算(Ⅰ)~(Ⅲ)まであります。
■共通項
・加算Ⅰがベース
・協力医療機関との連携を確保しつつ、手厚い看護体制の事業所を評価
・(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の各区分の併算定はできない

キャプチャ

【留意事項】
加算(Ⅰ)は自社で看護職員を抱えないまるっと連携タイプ
加算(Ⅱ)(Ⅲ)は医療行為を実施している方が1名以上いて、自社内で看護職員が常勤換算で1名以上いる場合の連携についての評価であるということになり、(Ⅲ)は准看護師では対象にならない、ということになります。
また、この常勤換算の時間帯には実際に医療的ケアや喀痰吸引の時間は除外する必要がありますので、勤務時間のカウントに注意が必要です。

訪問看護ステーションや医療機関としては、訪問看護師を派遣して健康管理、緊急時の対応、手技指導等を行うことが求められることになると思います。
また、「訪問看護」を実施した場合、訪問看護費(介護保険)は算定できませんのでご注意ください。

■訪問看護ステーション(医療機関)側の書類の準備
①グループホームとの委託契約書
⇒日常的な連携の方法と内容、緊急時の連携の方法と内容、情報共有の仕方、
主たる連携対応者の資格(看護師)
※費用の分配(委託料)について検討すること

②事業所職員からの連絡を受ける体制・・・ルール作り、体制づくり

③グループホーム向けの営業ツールの作成

■グループホーム側の書類の準備
⇒マニュアルの作成・・・日常的な健康管理、
通常時及び状態悪化時の連携や調整体制
利用者向けの説明・同意文書作成
重度化した場合の対応指針
看取りの指針
⇒(Ⅱ)(Ⅲ)については医療処置の統計

【令和3年度診療報酬改定での見直し】
認知症グループホームにおいて、医療ニーズのある入居者への対応を適切に評価し、医療ニーズのある者の積極的な受入れを促進する観点から、医療連携体制加算(Ⅱ)及び(Ⅲ)の医療的ケアが必要な者の受入実績要件(前12月間において喀痰吸引又は経腸栄養が行われている者が1人以上)について、喀痰吸引・経腸栄養に加えて、医療ニーズへの対応状況や内容、負担を踏まえ、他の医療的ケアを追加する見直しを行うこととされました。
これは告示の改正となります。

下記の図の通り、これまで医療連携体制加算(Ⅱ)(Ⅲ)について①喀痰吸引を実施している患者、②経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている患者が対象患者とされていましたが、赤字の部分(呼吸器や人工腎臓等の患者)が追加されました。
認知症グループホームにおける医療ニーズへの対応強化
(出典:社会保障審議会「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」より)

改定に向けて、地域での生活を支える、というところに重点を置かれているように思います。自社だけではなく、医療機関や周辺の介護事業所との連携も重要になってくると思います。

医業経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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