【医療介護あれこれ】接遇レッスン「クレームを聴きとる」

長 幸美

アドバイザリー

医療機関だけでなくても、クレーム対応は頭が痛いところではないでしょうか?
窓口で威嚇するように大きな声を出し、言葉尻をとらえられ、お困りになった経験のひとつ二つ・・・皆さんあると思います。今日は、なぜクレームが起こるのか、少し考えてみたいと思います。

【クレームが起こるとき】
皆さんクレームが起こる発端はとても些細な出来事がきっかけになっていると思います。
例えば・・・
・長く待たされた ・挨拶したのに返事がなかった
・順番を飛ばされた ・夜眠れなかった
・注射がうまくできなかった ・説明が分からない
・急な症状があり、不安で仕方ない ・自分がたてていた予定が狂った
・・・等々、対応が悪いだけではなく、クレームを言っている本人の問題でしょ、と思うこともありますよね。
どんなクレームなのか、聴き取ることが必要です。人の記憶は曖昧になりますし、一度にまくしたてられると、舞い上がってしまい、何を聞いているのか、わからなくなることもありますね。

【クレームを聞くときのポイント】
クレーム対応をするときには、他の人の目にさらされる状況でお聞きするのは避けましょう。強調するために相手がヒートアップしていくことも考えられます。
静かな環境で対応することもひとつのポイントです。

■責任者を出せには対応しない
冷静な判断をする必要もありますので、当事者や責任者・・・つまり判断をする立場の方は出さないようにします。即決を求められたり、金銭の要求をされたりするときに、冷静な判断ができないからです。安易な回答を避ける意味でも、第三者的に話をお聞きします。

■相手に対応するとき
苦情内容をしっかりと聞き取りしましょう。
5W1Hにそって、特に「何時」「どこで」「どういった内容か」ということは細かく聞きます。
この時に、留意する点は、「聞く」に徹すること。
「なるほど・・・」「~~だったのですね」と事実の確認しましょう。これはとても大事なことです。
また、この時に聴き手の考えは必要ありません。聴き手の考えを言ってしまうと、クレームの方向性が変わっていく可能性があります。注意しましょう!

■メモを取る
人の記憶はあいまいです。
「大切なお話をいただいていますので、間違えがあってはいけません。メモを取らせていただきます」といって、内容を確認しながら、メモを取りましょう。
後々、うっかりといい間違えると逆に上げ足をとられることにもなります。
メモを書く間、少し待ってもらうことになりますが、冷静になる時間を作るという意味もあります。「時間」「場所」「内容」はしっかり書き留めましょう。
その時に、時々、書き留めた内容を確認することも必要です。
あくまでも、正しい事実、相手の話に基づいたメモが求められます。

■即時の判断をしない
苦情内容をお聞きしたら、最後に連絡先をしっかりと聞きましょう。
クレーム対応は「病院の姿勢」をあらわすものにもなります。
即時の判断は避け、安易な回答は禁物です。
「本日のお話は、私から確実に、上長に報告します。そのうえで、どのように対応させていただくか病院として検討いたします。」と説明しましょう。現場で判断しないことが大事です。

■感謝の気持ちで対応する
「今日はいいアドバイスをいただきありがとうございます」という、感謝の気持ちで対応しましょう。このためには、丁寧に聞き取りをすること、不満には共感し、事実を確認することが必要なのです。

こういったクレーム対応でニコニコ笑顔を振りまく必要はありません。
凛とした態度と良い勉強の機会をいただいたという感謝の想いを伝える、まっすぐな(誠実な)姿勢・表情で対応されるといいと思います。

医業経営支援課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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