【医療介護あれこれ】在宅医療②「在宅医療に必要な書類」
長 幸美
アドバイザリー介護保険事業や在宅医療って書類が多くて大変~~!
恐らく在宅を検討された先生であれば、そういう印象を持たれた方は少なくないはず。
訪問診療やめとこうかな・・・と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時こそ、事務職員さんの出番ですよ!!
今日は、在宅医療に必要な書類を整理し、「面倒だ」「大変だ」を克服するために、事務職員ができるサポートをお話したいと思います。
■書類作成支援
在宅医療で必要になってくるのは、利用する患者及び家族の意向確認など「こんな生活がしたい」ということに対し、医療側がどんな方法でその生活の実現を支えていくか、ということを「提案」し、「実行」していくことです。
つまりアセスメントとインフォームドコンセントということになると思います。
医療現場では常に実施されていますが、その形が少し違いうかもしれません。準備さえしていれば、怖くはありません。事務さんはこの「書類作成・準備」の支援ができると思います。
■アセスメントシート
入院であれば看護師さんが入院時にアナムネを聴取されますよね。
同じように、在宅医療を始める場合でも、キーパーソンがどなたになるのか、連絡が取れる人はだれか、日常的に看護・介護されている方はどなたか、ということがとても大事になります。
例えば・・・
ご高齢のご夫婦お二人暮らしの場合と、ムスメ家族が一緒に生活している場合。
日中の患者さんの過ごし方がどうなのか、仮にムスメさんが同居していたとしても、常態的に一日外で働いている場合、パートで働いている場合、在宅勤務の場合によって介護の状況は異なります。また、不在時に近所の方や、兄弟姉妹等の支援を受けられるかどうかによっても、変わってきますよね。そういったことを丁寧に聴いていく必要があります。
誰が聴いても漏れがないように、必要な内容を先生方と話し合い、シートを準備するといいでしょう。今では介護ソフトの中に、このシートが組み込まれているものが多くありますので、そういったものを医療でも共用されることもよいと思います。
■重要事項説明書及び契約書、等
重要事項説明書や契約書に関しては、インターネット上で、行政や各事業所でモデルになるものが出ていますので、その内容を参考にされるといいと思います。
ここでお伝えしたいことは、はじめに説明が必要な事項に関しては一通りまとめて重要事項説明書・契約書の綴りを作っておく方が良いということです。
すべてを網羅しておき、アセスメントシートや患者さま・ご家族様と話をしながら、必要事項を記入するスタイルにするのが良いのではないかと思います。
Check項目を取り入れ、不要な項目については斜線を引くなど工夫できますね。
この他に、個人情報利用目的、自費請求の内容、緊急時の対応方法、など必要なものをひとまとめにしておかれるといいでしょう。
■訪問診療記録
記録についてよくお聴きするのが、「手書きで記載したものをまた電カルに入力する」ということです。
必要事項が記載されてあれば、複写の訪問記録用紙を準備され、カルテにはスキャン登録されるとよいのではないでしょうか?電子カルテの運用規定の中に訪問診療記録はスキャン保存すると明記されていれば、クリアできると思います。
また、最近の電カルでは、iPad入力や写真保存で運用ができるものもあります。
できるだけシンプルに、但し必要な項目や記録についてはもれなく記載されるよう運用を考えていく必要があります。
■居宅療養管理指導
先生の診療情報は介護にかかわる方へも情報共有を必要とします。このために居宅療養管理指導(薬剤師の場合)があります。在宅時医学総合管理料や施設入居時総合管理料とともに大事なものになります。
例えば、通常の診療であれば、処方箋を患者又は家族が調剤薬局に持参しお薬を受け取ることが必要です。しかし居宅療養管理指導を利用すると、定期的に配薬したカレンダーを持参してくださり、お薬に関する困りごとの相談にのってくれます。その困っていることは医師と情報共有してくださることはもちろん、ケアマネジャーにも伝えられ、介護に役立ててくださいます。きちんと服薬できているか、悪い影響が出ていないかも、確認してくださいます。活用しないともったいないと思いますよ。
記録については、その方の診療内容により、注意事項や指導内容は変わってきますが、ある程度チェック項目等で簡素化することも可能です。
■緊急連絡先等
24時間365日患者さんの生活は続いていきます。仕事をする側にはお休みがありますが、生活にはお休みがありません。お休みのときに何かあったら・・・夜寝ているときになにかあったら・・・ということは本当に家族にとって不安です。こういった時に、「なにかあったらチームで対応するから大丈夫ですよ」と示してあげるととても安心されます。
退院後2週間くらいは不安が大きく、ちょっとしたことで電話が鳴るかもしれませんが、このくらいなら大丈夫ということを家族が感じてくると、連絡の回数も減ってくるでしょう。このためにファーストコンタクトをどうするかは、在宅チームで話し合い、ベストの方法を探す必要があります。
さて、皆さん、如何でしょうか?
在宅医療を開始する際に考えておくことや整えておく書類など、一通りお話をしてきました。今日お話をしてきたことは、下準備として事務職員さんが活躍できる場ではないでしょうか?先生方や看護師さんと話をしながら、書類等を見直してみると、省力化できることもあるかもしれません。事務職員さんも立派な在宅の一員です。
皆さんの医療機関も見直してみませんか?
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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