【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「創傷処置と創傷処理」
長 幸美
アドバイザリー皆さん、「創傷処置」と「創傷処理」言葉は似ていますが、どのような違いがあるか、説明できますか?医療事務をやり始めたころに、違いが判らず、「麻酔薬を使っているかどうか」で判断していました。今日はその違いを確認しましょう!
【診療区分の違いがある!】
「創傷処置」は処置料(診療区分40)に分類され、「創傷処理」は手術料(診療区分50)に分類されます。その違いは以下の通りです。
■創傷処置
創部からの感染を防ぐため簡単な消毒や薬剤の塗布、ガーゼや絆創膏の貼付などの処置です。 切除や縫合は行いません。
算定に関する留意点は以前コラムでも取り上げていますので、ご確認ください。
<コラムdeスタディ:2021年5月25日> 医療事務基礎講座「創傷処置」
また、創傷の種類により、「熱傷処置」「重度褥瘡処置」等に分けられています。
■創傷処理
切創、刺創、割創又は挫創などの創傷に対して、切除、結紮又は縫合を行う手術です。
切除(切る)、結紮(縛る)、縫合(縫う)・・・ということですので、相当な痛みを伴うものと考えられ、一般的には局所麻酔剤等を使う場合が多いと思います。
このため、冒頭で申し上げた「麻酔薬を使っている」ということは判断の一助にはなるかもしれません。
【創傷処理算定のポイント】
算定を行う上で確認していただきたいことは、以下の3点です。
① 年齢
6歳未満の幼児には、「K000-2小児創傷処理」という点数で算定します。
② 筋肉や臓器に達しているかどうか
それぞれに創傷の長さや深さにより、分類され、点数がありますので、まずは深さを確認しましょう。
③ 創傷の大きさ(長さ)や形状
次に創傷の長さです。6歳未満と6歳以上では創傷の長さが違っていますので、十分注意してください。
露出部(顔、頸部、肘関節より先の手、膝関節より先の足、など)であって、真皮縫合する場合では、真皮縫合加算があります。ただし、手のひら・眼瞼については真皮が存在しないため真皮縫合は行われないため算定には注意が必要です。指に関しても認めない旨の通知が出されています。
また、汚染された挫創に対してデブリードマンを行った場合は加算があります。これは、汚染された層に対し、ブラッシング又は汚染組織の切除等を行ったもので通常麻酔したで行われる程度のものとされています。
■「K002 デブリードマン」との違い
よく似た項目で、「K002 デブリードマン」がありますが、こちらは、対象疾患が限られています。これは皮膚移植を伴うものを前提とされています。
熱傷により全身の20%以上に植皮を行う場合又は、A群溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎の場合に関しては5回算定ができますが、それ以外では初回のみの算定となります。
レセプトには、植皮を行う範囲を記載することとされていますので、ご注意ください。
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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