社労士モリの映画あれこれ~「さがす」(2022年:日本)~

森 𠮷隆

その他

2022年が始まってまだ時期尚早とはいえ、本年の日本映画のベストワン候補!と言いたくなるような良作。
なおこの作品は予備知識なく鑑賞したほうが良いかと思いますので、これから鑑賞予定の方は、以下ご注意ください。

舞台は大阪西成、不甲斐ない父を支える健気な中学生の娘。となるとこれは「じゃりン子チエ」的展開か…と思っていると、父は「指名手配中の殺人犯を見た、捕まえたら300万円貰えるで」の言葉を残し失踪。まさに娘は父を「さがす」事に…。

※以下、少々ネタバレに近い箇所があります。

 

 

物語は途中から娘、殺人犯、父、3人の視点から別々に描かれます。時系列を3分割することでそれぞれピースが後半パズルのようにはまっていくようなミステリー的構成、その中に現在の社会問題が描かれてゆきます。「パラサイト 半地下の家族」で知られるポン・ジュノ監督の助監督経験もある片山慎三監督はデビュー作「岬の兄妹」でも力強い描写で才気を見せましたが、この2作目では社会性にエンタメ性を強化させたあたりは、まさに師匠を思わせるタッチ。そう言えば「オールド・ボーイ」「チェイサー」といった韓国映画も想起させるような場面もあり、そのあたりの影響も感じます。
コミカルなイメージの強い佐藤二朗が一転、シリアスにダメ親父を演じ、彼と対峙する娘役の伊東蒼は勿論、脇役陣に至るまで存在感のある演技を披露しているのも見物。

決して明るい映画ではなく、むしろ「苦くて、重く、痛い」(誉め言葉です、念の為)。その点は好き嫌いが分かれるかも知れませんが、それ故インパクトの強さは相当なもので、私はそのアクの強さにも魅了されました。

筆者略歴:森 吉隆(労務コンサル課)特定社会保険労務士 「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)

労務コンサル課

著者紹介

森 𠮷隆
人事コンサルティング部 労務コンサル課 シニアコンサルタント
(特定社会保険労務士)

「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

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