【令和4年度診療報酬改定】連携について
長 幸美
アドバイザリー今回の改定は、「連携」という言葉が頻繁に出てきます。
これまでも、院内連携や地域連携、そして地域包括ケアシステムと連携に関する事柄は改定の中に頻繁に出てきていました。しかし、今回の改定の中にある連携関連は、一味も二味も違っているように感じます。今日はこの連携について考えてみましょう。
■地域包括ケアシステムの実現
入院から在宅まで切れ目のない医療を提供するための取り組みとして、2025年には地域包括ケアシステムを完成させ、「住み慣れた土地で住み続ける」ことができるようなサポート体制を構築することが求められています。
(出典:20220304厚労省「令和4年度診療報酬改定の説明会資料」より」
■実践協力型の地域連携
今回この連携体制が、見直され地域の中で感染対策や在宅支援をする体制を実践することに評価がつきました。皆さん、実践することが求められています!
これまで連携といえば、患者さんの入院紹介や検査の依頼がほとんどで、「連携?地域連携室やっといて!」という医療機関さまも多かったのではないでしょうか?
クリニックでは先生が対応されることはほとんどなく、事務職員さんや看護師さんと話をしていくというところも多いと思います。現在もクリニックの先生に連携の話をすると、「連携かあ~~」とため息をつかれる場面も多いものです。紹介状を書かなきゃいけないし、めんどうだな・・・ と。
しかし今回の改定で求められている連携は、クリニックの質の担保のため、また、地域の生活を支援するために必要なものとして位置づけられています。これが実践型の地域連携への移行と考えている所以です。
■感染対策向上加算
クリニックでも感染対策は必要です。しかし、数人規模のクリニックで、病院と同じような感染対策は難しいものだと思います。この感染対策向上加算については、診療所にも評価されていますが、診療所の場合、感染対策向上加算1の医療機関との連携が求められています。つまり、クリニックでは難しい対応については感染対策向上加算1の医療機関に支援してもらいより現実的な感染対策ができることに意義があります。また、病院側にも、支援すること、これを実践していくことが求められています。
こういった評価は初めてのことではないでしょうか?
■外来在宅共同指導料・・・在宅への移行支援
外来から在宅への移行についてこれまで評価されるものがありませんでした。しかし、外来で見ていた医師が在宅医療を提供してくださるとは限りません。
私の父の場合もそうでして、通院できなくなってからも、訪問診療を相談した時も「在宅医療では満足な医療管理はできないから入院しなさい」ということを言われました。
症状の悪化があるわけではないのですが、在宅医療はやらない=入院というものでした。知人を通して在宅医療を行ってくださる先生にお願いして、現在も自宅で生活ができていますが、こういった場合に活用できるのではないでしょうか?
■生活を支える医療とは?
最後に、クリニックや小規模病院については地域での「かかりつけ医機能」が求められています。そして、この機能は、急性期の医療機関との連携は欠かせません。
今回、触れませんでしたが、「食べる」ということに対しては「歯科医療機関」との連携は欠かせませんし、服薬管理については「かかりつけ調剤薬局・薬剤師」との連携は必須になります。
「実践的な連携」については、皆さんの医療機関の実際をしっかりと見直し、周辺の医療機関との連携を検討していく必要があるのではないでしょうか?
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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