【医療介護あれこれ】安全運転管理者業務の拡充について

長 幸美

アドバイザリー

令和4年4月より改正道路交通法施行規則が施行されました。これに伴い、「安全運転管理者業務」が拡充され、具体的に言うと、酒気帯び運転を防止するためにアルコールチェックが義務付けられてきたということです。

医療機関の皆さんはあまりピンと来ていない方が多いかもしれません。
しかしながら、デイケアやデイサービス、訪問看護や訪問リハビリ、訪問診療など、車の運転が皆無というところは案外少ないのではないでしょうか?

■法改正の背景
令和3年6月に千葉県八街市で起きた下校中の児童が飲酒運転の大型トラックにはねられて死傷した非常に痛ましい事件がありました。また、医療介護の現場では、デイサービスなどで、業務上運転を行う必要がある方はたくさんおられます。
デイサービス中に飲酒運転が原因で事故が起こっていることもあり、注意していきたいですね。
また注目してほしいのは、この千葉県の事例もデイサービスの事例も「勤務中に飲酒していること」にあります。プロの職業人としてはあってはならないことですよね!
このようなことからこれまで以上に飲酒運転・酒気帯び運転の撲滅を図っていくことが目的として法の改正が行われているのです。

■主な改正点
事業所の中に、乗車定員が11名以上の自動車は1台以上、そのほかの自動車は5台以上使用している場合、事業所ごとに安全運転管理者の選任が必要になります。(50CCのバイクの場合は、1台を0.5台と換算して計算)
また、自動車の台数が多い場合(20台以上40台未満)は、安全運転管理者の補助をする「副安全運転管理者」を1人以上専任することなども法律で定められています。
安全運転(運行)に対し事業所としてしっかり管理してほしい、管理責任を問いますよということになります。

■安全運転管理者の要件
「安全運転管理者」は、20歳以上で、自動車の運転管理に関して2年以上の実務経験を有するものとされています。
また、事業者は、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会に届け出が必要です。

「副安全運転管理者」を置く場合は、30歳以上のものであることが定められています。

■安全運転管理者の役割
「運転者に対する交通安全教育」や「運転者の適正・技能などの状況把握」を行うこととともに、「点呼等による飲酒・過労・病気そのほかの正常な運転をすることができない恐れの確認と必要な指示」・・・などが役割として定められています。

つまり、運転前に確認して、不適切な状況であれば、運転をさせないことも必要になるということですね。また、アルコールチェック(勤務前後)は記録として残していくことも必要になってきます。(1年間の保存義務あり)

さらに2022年10月からは、アルコール検知器を使用して確認を行うことが義務付けられてきますので、準備が必要ですね。
(緑ナンバーの事業所についてはすでに義務化されています)

介護事業所では、介護保険法の中で、業務管理体制が求められており、法令順守について、指導監督部局(都道府県、市町村)による立入検査(特別検査)が求められてきています。これは適正な介護保険事業の運営についての管理体制です。
また、労働基準監督署は働く人の安全管理のため、衛生管理者を置くことが事業規模により求められてきています。
さらに「アルコールチェック」です。背景にあった事例は、こちらも勤務中の飲酒が原因でした。個人のモラル上の問題かもしれませんが、事業所としての取り組みも求められています。

「飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!」
プロの医療人(社会人)として、肝に銘じていきましょう!
事故を起こしてからでは遅いので、日ごろから注意していきたいですね!

<参考資料>
■道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等の施行に伴う安全運転管理者業務の拡充について(通達)
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/20211110tuutatu.pdf

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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