【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「傷病手当金について」
長 幸美
アドバイザリー病気やケガ等で長期間仕事ができない場合、健康保険から保障があることをご存じでしょうか?これが「傷病手当金」です。この傷病手当金の請求については、基本的に本人からの申し出により、事業主が行うのですが、その請求には、医師の証明書が必要です。その証明書代は医療保険で賄われます。
■傷病手当金とは
病気やケガによる休業中に、被保険者とその家族の生活を保障する制度です。
会社を連続して休んだ3日間(待期期間)を経て、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。任意継続被保険者には支給されません。
最長1年6カ月の受給が可能で、以下の要件をすべて満たす健康保険の被保険者が受給できます。
① 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
② 仕事に就くことができないこと
③ 連続する3日間を含み4日以上働けなかったこと
④ 休業した期間について、給与の支払いがないこと
■医療機関の証明が必要
申請書の中には、診療した医師が意見を記載し、確かに治療・療養していることを証明する必要があります。形式は違っても、記載する内容はほぼ同様の内容になりますので、ここでは協会けんぽの例を見ていきましょう。
<健康保険傷病手当金支給申請書~協会けんぽの例>
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/2106/k_shoute2106.pdf
協会けんぽの場合、申請書は4枚あります。
p.1とp.2 : 自己申告(本人の記載欄)
p.3 : 事業主が記載する欄
p.4 : 療養を担当するもの(医療機関の証明書)
医療機関は、傷病名、発症年月日、労務不能と認めた期間、そして実際に病院に通院または入院していた日にちを証明することになります。
■傷病手当金の証明書代は?
傷病手当金の医師の証明書を記載した場合は、医療保険で賄われます。
B指導管理の中に、「B012 傷病手当金意見書交付料 100点」という項目があり、診療報酬として請求します。
したがって、自費でもらうことはできません。
■留意事項
仕事ができない場合の補償については、労働災害による休業補償もありますが、この場合は、業務上の事由により仕事ができず、給与が支払われない場合の補償になり、傷病手当金との重複請求はできません。
今回は「傷病手当金」の証明書についてみてきました。ベースとしてこのような制度があることは理解しておいてほしいと思います。また、受給資格があるかどうかや、実際に支払われる金額等については、患者さんの会社の総務(労務担当)の方と話をしてもらう必要があると思います。
私も病院時代に、治療費の未納の患者さんと面談した時に、会社に相談するように勧めたこともあります。受給条件など会社と相談しないとわからないこともありますので、相談ができることなどを窓口からアドバイスできるといいですね!
<参考資料>
〇健康保険傷病手当金支給申請書
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r124/
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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