【医療介護あれこれ】接遇レッスン「大声を出す患者への対応は?」

長 幸美

アドバイザリー

皆さん、患者さんから「対応できない」ことを要求された時、どのように対応されているでしょうか? 最近ではあまり見かけませんが、窓口で大きな声を出して、要求を通そうとする方もいらっしゃいますね。

例えば・・・、
「今日は忙しいから先に診察してほしい」
「この薬もっと欲しい」
「診察券? 保険証? オレは翁先生の時代から来ているんだ! 顔ぐらい覚えておけ!」
「いつまで待たせるんだ!」
大きな声を出して、カウンターをたたき、威嚇してくる方もいらっしゃいますね。
そのようなとき、皆様どのような対応をされているでしょうか?
このような困った患者さんが来られた時の対応を考えてみましょう!

■同調しない、動揺しない・・・
大きな声を出されると、だれでも動揺しがちです。子供っぽい行為だとも言えます。
受付で大声を出されると、焦りますよね。けれど、大声に大声で返す・・・ということは賢明ではありません。相手は自分に都合が悪くなったために、威嚇して従わせようとしているだけです。できるだけ平静を保ち、威嚇しても従わない姿勢を見せましょう。

病院時代に私も、「責任者を出せ、女じゃ話にならん!!」と大きな声を出されたことがあります。失礼な話ですが、ここで慌ててはいけません。うろたえてしまうと相手の思うツボです。

■あなたは今、怒っていますね?
相手の行動を淡々と指摘し、なぜ怒っているのか説明を求めてみてください。
多くの人は、「怒っている」理由を説明することにより、徐々に平静さを取り戻してきて、話し合いをすることができるようになります。

■場所を変える
大声を出すことにより、注目されることで、気分を高めていく(さらに興奮する)場合があります。陶酔感を感じるわけです。また、周りの人も、職員の対応をじっと見ています。
このため、観衆の視線から遠ざけるという意味もあります。
また、移動することにより、冷静になる時間を与えることにもなります。

■こちらに非があることは、丁寧に謝る
何故、大声を出しているのか、その理由を確認し、医療機関側に非がある場合は、その非を認め、丁重に謝ることが大事です。
しかし、無理難題を押し付けてくる場合は、ルールを説明し、ルールを守ってもらうように話をします。

よくあるのが、「職員の言い方」の問題です。
例えば、保険証を忘れた患者さんに、「保険証持ってきてないんですか?じゃ、今日は自費ですね」「ルールはルールですから!」と言い放ってしまう、ということ・・・。
実はクレームにまで発展する事例で非常に多いのがこの例です。
相手を配慮する言葉遣いができなかったことに対しては、丁寧に謝りますが、「保険証の確認」については、月1回の確認が必要なこと、今日は自費になるけれど、保険証を持ってきてもらうことにより、差額は返金ができること、を説明することにより、納得していただけることが多いものです。

「薬だけたくさんほしい」「忙しいから薬だけ」という患者さんも、「薬」は体にとって、「良いこと」も「悪いこと」もあるため、医師が状況を確認して処方する決まりになっていること、を説明することにより、ほとんどの方は納得されます。

■ルールは明確にしておく
医療機関のルールについては、掲示やホームページで明確にしておくことが良いでしょう。
仮に掲示していたらそれでよいかというと、そうではありません。初診や久しぶりの方にも、その都度丁寧な説明で、ルールがあることもお伝えしていくことが大事になります。

如何でしょうか?
大きな声を出す人は、基本的には小さな子供と同じかもしれません。同じ土俵に立ってしまうと、振り回されることになります。また、周りの方々にも「大きな声を出せば何とかなる」ということを学ばせることにもなりかねません。医療機関の中で、どのような対応が必要か、シミュレーションしてみることも効果的だと思います。

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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