【医療介護あれこれ】在宅医療「認知症①~MCIが疑われたら?~」
長 幸美
アドバイザリー皆さんは「認知症」と聞いてどのように感じますか?
その昔、「恍惚の人」という映画や、「ペコロスの母に会いに行く」、若年性アルツハイマー病を取り上げた「大恋愛~僕を忘れる君と」というドラマなどもありましたね。
YouTubeでは娘が認知症の母を2年半にわたり撮影した実録なども話題になりました。
今回はこの認知症について、考えてみたいと思います。
■認知症とは?
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症にはいくつかの種類があります。代表的なものを紹介します。
① アルツハイマー型認知症・・・認知症の中で最も多い。脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行する。
② 血管性認知症・・・次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によるもの。障害された脳の部位によって症状が異なる。アルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多い。
③ レビー小体型認知症・・・現実には見えないものが見える幻視や、手足の震えや、歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれる
④ 前頭側頭型認知症・・・スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる
⑤ 若年性認知症…65歳未満で発症した認知症
■軽度認知障害で早期発見・早期対応がカギ
普段の生活に支障はきたさないものの、記憶などの能力が低下している状態のことを「軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)」と言います。
MCIの方の半数は5年以内に認知症を発症するとも言われていますが、この段階から運動などの予防的活動を開始することによって、認知症の進行を遅らせることが期待されています。
介護事業所において、脳トレや二つの動作を組み合わせて刺激を与えることにより進行を遅らせていくことなどが期待されています。
要介護認定を受けていない状況から、公民館活動やカラオケ、お散歩など、体を動かすことが有効と考えられています。
■MCI改善のための対策
ここで改善のための対策をいくつかご紹介しましょう。医療機関として、プログラムを組んでの支援や、介護事業所と連携することも必要になってくるかもしれません。
① 運動
お散歩やジョギングなどの有酸素運動が有効だといわれています。
脳の血流が増加し、酸素により脳が活性化するといわれています。
また、運動しながら、同時にしりとりや計算することにより、より高い効果が期待されるそうです。
② 食事
健康管理の基本であるバランスよい食事は、認知症予防にも大事だということです。
野菜・くだもの(ビタミンC・E、βカロチン)、魚(DHA、EPA)、赤ワイン(ポリフェノール)などもよいそうです。
③ 認知トレーニング
集中すること、計算すること・日記をつけること、他の方との会話などにより、楽しみながら脳に刺激を与えていくことが良いトレーニングになるそうです。
最近では、料理、麻雀やマジック、楽器の演奏やカラオケをデイサービスで取り入れているところなどもありますね。
医療機関の中で、自費サービスとして考えてみても面白いのではないかなと思います。
地域包括ケアシステムのなかで、考えてみてはいかがでしょうか?
<参考資料>
〇厚労省「知ることからはじめよう。みんなのメンタルヘルス」より
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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