【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「後期高齢者の一部負担金が変わります②」

長 幸美

アドバイザリー

さて、前回定額負担の見直しについて説明してきましたが、実際にどのような負担変更となるのでしょうか?
今回、時限的な措置(3年間)として、窓口負担割合が2割になる方は、負担を抑える配慮措置が取られています。前回見てきたように、配慮措置の対象になる場合は、1か月の診療報酬点数の合計が3000点~15000点になる患者さんです。

計算方法その①
(出典:厚労省「一定以上の所得のある方の医療費の窓口負担割合が変わります(令和4年9月発行」より)

この配慮措置の場合は、その月の窓口負担上限額(1割負担+3,000円)を計算したうえで、前回の診療までの窓口負担額の合計との差額を計算して一部負担を申し受けることになります。つまり、毎回の診療日ごとに計算することになります。

計算方法その2
(出典:厚労省「一定以上の所得のある方の医療費の窓口負担割合が変わります(令和4年9月発行」より)

計算のイメージは以下の通りですが、同じ月に複数日来院された場合は、その都度、一割負担+3,000円の金額を計算し、その月に支払った金額の合計額により、計算していくことになります。

医療機関薬局等での計算イメージ
(出典:厚労省「一定以上の所得のある方の医療費の窓口負担割合が変わります(令和4年9月発行」より)

しかし、毎日の診療報酬の計算ではこのように割り切れるきれいな数字にはなりません。
次の計算例を見てください。1点単位での点数がある場合は一部負担金の計算が円単位まで出てくる可能性があることを示しています。これは今までの計算のルールとは少し違うところです。つまり、高額療養費の考え方が取り入れられているということになります。

医療機関薬局等での計算イメージ(1円単位となる場合)
(出典:厚労省「一定以上の所得のある方の医療費の窓口負担割合が変わります(令和4年9月発行」より)

再度お伝えしたいのですが、この2割負担になったことによる配慮措置の対象になるのは、月の外来診療報酬の点数が3000点~15000点になる方の場合です。
3000点までは、従来の一部負担金(1割)+3,000円加えた場合でも6,000円にならないため、通常の2割の負担になります。さらに15000点を超えた場合は、通常の外来上限額の18,000円を超えてしまうため、上限額は18,000円になります。

その間の配慮措置に該当する場合は、一部負担金の計算は高額療養費の計算と同様に円単位で計算することになっています。非常にわかりづらいと思うのですが、レセコンの計算とともに、この仕組みを理解し、患者さんにきちんと説明ができるようになっておきましょう!
また、複数の医療機関や薬局、訪問看護等を利用されている場合には、多数該当の考え方が入り、一部負担金の差額が償還払いされることとなっていますので、さらに負担増に関して配慮されている形になっています。
3年間の時限措置であり、それ以降は通常の2割負担となりますので、ご留意ください。
末尾に厚労省の医療機関・薬局向け説明資料を添付しております。こちらを合わせてご覧いただき、ご理解いただきますようにお願い申し上げます。

<参考資料>
〇厚労省「医療機関・薬局向け説明資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000981142.pdf

〇後期高齢者医療制度の負担割合見直しにかかる計算事例集
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000981143.pdf

〇配慮措置(Q&A)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000996068.pdf

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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