令和5年度診療報酬臨時改定~オンライン資格確認の義務化~
長 幸美
医業経営支援令和4年8月に療養担当規則の改定が行われ、令和5年4月からオンライン資格確認が原則義務化されることにつきましては、皆様もご承知のことと思います。
これにより、現状では、マイナンバーカードのカードリーダーの発注や改修工事が追い付かず、令和5年4月の導入が危ぶまれていて、ハラハラされている医療機関さまも多いのではないでしょうか?
今回は、令和5年4月1日以降の経過措置について、昨年令和4年12月23日に中医協で答申された内容を紐解いていきたいと思います。
■令和4年10月改定内容の整理
令和4年4月の診療報酬改定で点数化されていた「電子保健医療情報活用加算」については同9月末で廃止され、令和4年10月からは「医療情報システム基盤整備体制充実加算」として新たに評価されました。これはマイナ保険証を使用したほうが、診療報酬が高くなるという現象を改善することと、医療DXの推進により、国民が医療情報の利活用による恩恵を享受することを推進する観点から改定されたと説明されています。
(出典:オンライン資格確認医療機関等向けポータルサイト「オンライン資格確認導入が原則として義務付けられます」より」)
同時に、医療DXを進めていくために療養担当規則の改正が行われ、令和5年4月以降、原則「オンライン資格確認システム」の導入が義務化されました
(出典:オンライン資格確認医療機関等向けポータルサイト「オンライン資格確認導入が原則として義務付けられます」より」)
つまり、導入しない場合、特例を除き「療養担当規則違反」となってしまうわけです。
■令和5年4月の臨時改定の概要
昨年8月24日に三師会合同の説明会が行われたこともあり、9月以降に顔認証カードリーダーの発注が相次ぎ、現在の状況では、来年4月の導入が見込めない状況が出てきています。この状況に対応するため、経過措置が設けられたものが、令和5年4月の臨時改定になっています。
1、改定の概要は以下。
原則義務化の経過措置(期限付き)
令和4年度末にやむを得ない事情があり導入ができていない保険医療機関・薬局は期限付きになりますが、経過措置が出されました。
(出典:オンライン資格確認医療機関等向けポータルサイト「オンライン資格確認導入が原則として義務付けられます」より」)
これらの明示により、この経過措置に該当しない場合は、令和5年4月からの導入が義務化されることになりますので、注意が必要です。
2、 医療DXの基盤となるオンライン資格確認について
Q&Aの中で、「オンライン資格確認とレセコン・電カルとの連携は必須になるのか?」という質問に対し、「オンライン資格確認端末のみでも、オンライン資格確認や医療情報の閲覧は可能であるため、レセプトコンピュータや電子カルテシステムとの連携は必須ではございません。」との回答が出されています。
一部先生方より電カルを導入していないため、「医療情報の閲覧はできない」という認識をされ、今後電カルの導入が必須になるのではないかとの質問を受けますが、オンライン資格確認端末の機能において閲覧はできると解されます。導入時のシステムベンダ―にご確認いただき、活用をすすめられるのが良いのではないかと思います。
3、訪問診療のみを提供する医療機関は令和5年4月の原則義務化の経過措置に適用されます。
国は、令和6年4月の運用開始を想定している。財政支援についても、令和6年3月末補助交付迄実施を予定されていますので、該当する医療機関は個別に確認をされることをお勧めします。
4、改築工事中・臨時施設による保険医療機関・薬局について
現在改築工事等により、本来の診療が行えていない医療機関については、改築工事が完了するまで経過措置が設けられています。
5、令和6年秋までに廃止・休止に関する計画がある医療機関・薬局は義務化の対象外
これも、担当する厚生局に確認されることをお勧めします。
巻末に短冊を添付しておりますので、ご確認いただければと思います。
<参考資料>
〇個別改定項目について(中医協 総-5 4.12.23)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001029744.pdf
〇個別改定項目の補足資料(中医協 総-6 4.12.23)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001032332.pdf
〇令和5年4月1日からの診療報酬上の措置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00043.html
医業コンサル課 長幸美
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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