市川隆志の「日々、相談屋」コラム:
「認定医療法人制度」活用のメリット・デメリット③

市川 隆志

医業経営支援

さて、『認定医療法人制度活用』シリーズ、もう第3回になってしまいました!

■前回までのおさらい
第1回で、制度の成立過程における背景について、簡単に触れさせていただきました。その際、認定医療法人制度には、3つのメリットがあるとお伝えしました。

1. 医療法人の出資持分に関する相続税負担が無くなる
2. 厚生労働省のいわゆる『お墨付き』なので、安心感がある
3. 医業承継の課題の内、財産面での課題が解決されるので、運営面での承継課題に集中できる

これは、医療法人出資持分に関する『1.相続税負担回避』」『2.厚生労働省のお墨付き』というメリットにより、医業承継時の『財産権』の課題がクリアされる → 結果として「3.『運営面』に集中出来る」というメリットを享受出来る、という関係になっています。

■医療法人出資持分に関する『相続税負担回避』
そもそも、何故、回避しないといけないのか、気になりませんか?
何も承継しない場合と比較すると、前世代から財産を承継した場合、次世代はある意味、優位な立場でスタートを切れるわけですから、ある一定額を超過した場合のみ、国民の義務として、『相続税』を負担するという構造になっていますね。
但し、その負担金額が膨大となり、せっかく承継したのはいいものの、承継する財産が現預金又は不動産や上場株式のようにすぐに現金化出来るものであれば、何も問題は発生しません。
しかし、医療法人の出資持分のような「すぐには現金化出来ない財産」の場合には、相続税は原則として現金で支払わないといけませんので、不足すれば、金融機関等から融資を受けて支払い、その後、その元本と利息を長期間にわたり返済していかなければなりません。こうなると「財産を承継することが逆に負担になってしまう」という問題が発生します。
だからこそ、その問題を回避する必要があるわけです。

■厚生労働省
「持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について(認定医療法人制度)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000205627.html
■コラム「認定医療法人制度」活用のメリット・デメリット①
https://www.sasakigp.co.jp/column/10022928
■コラム「認定医療法人制度」活用のメリット・デメリット②
https://www.sasakigp.co.jp/column/10022987

2023.1.26
株式会社佐々木総研 取締役 医業経営コンサルティング部 部長 市川隆志

 

著者紹介

市川 隆志
医業経営コンサルティング部 部長

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