クッション言葉、活用できていますか?

長 幸美

医業経営支援

相手に何かを依頼するときや、断らなければならないとき・・・ちょっとした言葉の選び方で、受け取る側の印象が大きく変わってきます。今回は上手に伝えられるように、クッション言葉の活用について考えてみましょう。

■クッション言葉とは・・・
クッション言葉とは、相手に対し負担になることや否定的なことなど、言いにくいことをいうときに、本題の前に添える言葉です。角が立たないように、また失礼にならないように、言葉の強い意味をやわらげる役割をします。
このクッション言葉により、相手は、「こちらの気遣いを感じ、その言葉を受け取る」・・・つまり「聞く」準備ができるわけです。
社会生活をするうえでは、依頼したり、断ったり、時には反論したりしなければならない場面も出てきます。そのような時に、「クッション言葉」を使うことにより、円滑なコミュニケーションを図ることができます。

従って、クッション言葉はその場面に応じて、使い分けていくことも大事になってきます。
以前のコラムですが、場面ごとに使い分けの事例を挙げていますので、参考にしてください。

※医療介護あれこれ「クッション言葉を使ってみよう!」(2020年12月17日掲載)
https://www.sasakigp.co.jp/column/10015032

■クッション言葉の留意点
「言葉」の強さを和らげる効果がある「クッション言葉」ですが、多用してしまうと、何を言っているかわからなくなってしまい、逆に相手をイライラさせてしまうことにもなりかねません。いくつかの留意点をお話しします。

<「申し訳ございません」は多用しない>
クッション言葉を使う場面は、比較的何かしら相手に対し「ネガティブ・否定的」な事柄を伝えるため「申し訳ございません」という言葉は万能なように感じてしまい、多用する方をお見受けします。しかし、「申し訳ございません」という言葉は謝罪の言葉であり、こちらの非を認める言葉になります。多用は禁物です。

<クッション言葉を繰り返し過ぎない>
皆さん何か手続きをしようと思ったときに、「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますか」「恐れ入りますが、お電話番号をお願いします」「恐れ入りますが確認のために生年月日を~~」「恐れ入りますが~(住所」~」「恐れ入りますが、お手数おかけして~記入を~」「恐れ入りますが~~」・・・と、すべてにおいてクッション言葉を挟まれ、イラっとしたことはありませんか?

様々な手続きの過程においては、複数の記載事項があったり、確認事項があったりする場合もあります。そのような場合は、冒頭で、「恐れ入りますが、いまから5点ほど患者様のことをお伺いいたします。まずは、お名前から~~、では次にお電話番号を~~・・・」というように、はじめにクッション言葉をはさんで、何のために何を聞かれるのかということを説明されるとよいと思います。

<感情を込める>
皆さんは、街中のアンケート等で、丁寧に対応してくれているけれど、「機械的」「形式的」と感じたことはありませんか?

クッション言葉を使う場面は、「手間をとらせる場面」や「要望通りにいかない場面」などが多くなります。そういうときに、いつものテンションで機械的にクッション言葉を言われるとどんな気持ちになるでしょうか?
「お手数をおかけします」という気持ちを、表情や口調に乗せて言うことが、機械的な印象を植え付けないポイントになります。

■メールのやり取りでもクッション言葉は活躍する
SNS世代の方々は、「簡潔に!」と、要件のみを入れ、余計な文面は入れない方が良いと思われる方も多くいらっしゃいます。
しかし、ビジネスメールで文面にした場合、かなり冷たい、威圧的な感じを受けることも否めません。口頭で伝えるよりも、「文字」に表すと命令(指示)・否定というところが強調 されます。このため、適切なクッション言葉をはさむことをお勧めします。

クッション言葉は奥が深い言葉です。人間関係をよくする第一歩でもあります。
少しずつ自分のものにしていきましょう。

医業コンサル課 長幸美

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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