在宅・リハビリの「データ提出加算」について

長 幸美

医業経営支援

令和4年度の診療報酬改定において、外来や在宅及びリハビリテーションにおいてもデータ提出加算が算定できるようになりました。今日は、この届出から算定までについてお話をしていきたいと思います。

「データ提出加算」とは?

まずはそもそものお話です。

もともとは入院の「急性期機能」のデータ収集と分析を目的に、「A245_データ提出加算」が作られました。DPC対象病院以外の医療機関からの情報収集とレセプトデータを収集・分析を進めていくためにデータを継続的に提出してくれる医療機関には、加算として評価するという類のものです。
これらのDPCデータやレセプトデータを分析し、地域医療構想等で活用されています。

外来のデータも、「A245_データ提出加算」の中で外来データを提出する医療機関には10点の点数が付加されていましたが、この「A245_データ提出加算」を届け出していない外来のみの診療所にもデータ提出を協力してくれる医療機関には加算点数が設けられたのが、令和4年度の診療報酬改定でした。

データ提出加算の対象は・・・?

今回のデータ提出加算の算定対象となる項目は以下の9つになります。

外来データ提出加算

B001-3 生活習慣病管理料 注4          50点
⇒生活習慣病を主病とする患者の外来受診情報、患者の保持疾患等

在宅データ提出加算

C002   在宅時医学総合管理料 注13        50点
C002-2 施設入居時等医学総合管理料 注7     50点
C003   在宅がん医療総合診療料 注7       50点

⇒訪問診療を行っている患者の療養情報、受診状況、患者の状態等

リハビリテーションデータ提出加算

H000   心大血管疾患リハビリテーション料 注5  50点
H001   脳血管疾患等リハビリテーション料 注7  50点
H001-2 廃用症候群リハビリテーション料 注7   50点
H002   運動器リハビリテーション料 注7     50点
H003   呼吸器リハビリテーション料 注5     50点

⇒リハビリテーション料に係る行為を実施した患者の外来受診情報、受診状況、患者の状態等

「データ提出加算」の算定はいつからできる?

実はこのデータ提出加算は、通常の施設基準のように体制を整えて届け出をしたらよいわけではありません。下記の図と併せてご確認ください。

先ずは、①「様式7の10」によりデータ提出の希望がある旨を届出(地方厚生局)し、
その後、②連続した2か月分の試行データを作成し、
「外来医療等調査事務局」に提出します。
事務局では、提出されたデータが適切であるかどうかの確認が行われ、「適切である」と判定された場合、④医療機関に結果報告の事務連絡が送付されます。各医療機関はこの事務連絡を受けて、
⑤地方厚生局に「様式7の11」を用いて施設基準の届出を行います。
医療機関は届け出が受理された翌月の1日から加算の算定ができるようになります。

出典:厚生労働省/「令和5年度外来データ提出加算等に係る説明資料」より(R5.4.26)

つまり、データの質を担保したうえで、継続的なデータ提出に協力してくれる場合に算定を認めるというものです。算定を開始したら、今度は、3か月分ずつまとめて定期的に「本データ」を作成し、継続して提出することになります。

スケジュール

医療機関の任意の時期に提出ができるわけではなく、手を上げるチャンスは1年間に4回となっています。

「様式7の10」の提出日により、試行データの提出期限が変わってきますし、前段で述べたように算定しようと思ってすぐにできるものではありません。

第1回目: 5/20までに様式7の10を提出 ⇒試行データの提出期限は 8/17
第2回目: 8/22までに  〃      ⇒    〃       11/16
第3回目:11/21までに  〃      ⇒    〃       2/15
第4回目: 2/20までに  〃      ⇒    〃       4/18

出典:厚生労働省/「令和5年度外来データ提出加算等に係る説明資料」より(R5.4.26)

このスケジュールに合わせて、ファイル加工用のシステム等を入れていくことが必要になります。
基本的には必要なファイルについては配布されるのですが、そのデータ形式に合わせて抽出したデータを加工したり、チェックしたりすることが必要になってきます。

まずは、システムベンダーに相談をして、どのタイミングで申請していくのか、計画を立てて準備をしていくことが大事だと思います。

提出データの概要

外来患者の患者属性や傷病名、患者の状態等のデータを共通・生活習慣病・在宅・リハビリテーションの4つのカテゴリ別にデータを作成し提出することとなります。

出典:厚生労働省/「令和5年度外来データ提出加算等に係る説明資料」より(R5.4.26)

様式1といわれるものには、病態等の情報が必要ですし、事務員さんだけで取り組めるものではありません。
入院のデータ提出や介護保険におけるLIFE等のデータ提出等を見ていると、いずれはこの外来データ提出に関しても必須になってくることは考えられますので、どのような内容か、確認され導入を検討されるのが良いと思います。

詳細な内容については、巻末に記載している厚生労働省の説明会文書等をご参照ください。

<参考資料>

〇厚生労働省「令和5年度外来データ提出加算等に係る説明会の開催について」(令和5年5月29日確認)
  ⇒令和5年度外来データ提出加算等に係る説明資料

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

制作者の直近の記事

コラム一覧に戻る
お問い合わせ

PAGE TOP