医療機関の接遇レッスン~こういう時代だからこそ…挨拶は大事!~

長 幸美

医業経営支援

皆さんの挨拶は、相手の方に届いていますか?

こんなことを聞いたら、受付の皆さんや先生方に叱られそうですね。
職員間トラブルの相談や患者さんからのクレーム相談をお受けすることがありますが、お話をお聞きしていると、案外多いのが「挨拶をする・しない」という問題なのです。

私はちゃんとしているから大丈夫!
そんな、挨拶なんて基本の「き」じゃないの、できてるわよ!

・・・多くの方はそう思われていると思いますが、そんなことを言わずに、お付き合いくださいね。

そもそも挨拶って?

挨拶とは、人と人が会うときにかわす言葉です。子供のころにご両親から「ちゃんと挨拶しなさい」ということを言われて、鬱陶しいなあと思われた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。けれど、この「ちゃんと」というところがミソだなあと、感じることが多いのです。

挨拶というのは、「相手の存在を認め、心を開いて近づいていく」という意味合いがあります。漢字の意味を見ても「挨」には押して進むという意味があり、「拶」には迫るという意味もあり、「私自身から心を開いて相手に近づいていく」という意味合いがあります。

「ちゃんと挨拶をする」ポイント

では「よい挨拶」「ちゃんとした挨拶」とは、どのような挨拶を言うのでしょうか?
朝の「おはようございます」
何かしてもらった時の「ありがとうございます」
帰り際の「お疲れさま」など・・・様々な場面で挨拶をしますね。
皆さん、お互いに声をかけられて、いやな思いをする人はいないと思います。

「よい挨拶」は感じの良い印象を与えますし、お互いに気分よく仕事をしていくためのマナーでもあります。だからこそ、気持ちの良い、感じよい挨拶ができるようにしていきたいと思います。
感じよい挨拶を行うために心がけたい3つのポイントについて考えてみましょう!

あかるく、いつも、(私から)さきに、つづける

これはあいさつの4原則とも言われています。

明るくはつらつとした挨拶は、気持ちが良いものです。そういう挨拶を受けると、こちらも元気がもらえ、ポジティブな気持ちになりますよね!

声のトーンは高めに!

苦手な人に声をかけるとなると・・・「大丈夫かな?できればあまり関わりたくないな」という思いが心の中に・・・。実はこの心の動きは、声に影響して、低いボソボソとした声で聞こえにくくなり、余計に相手をイライラさせてしまうことにもなりかねません。
自分自身では挨拶をしたつもりでも相手には届いていません。届いていないということは、挨拶をしていないということになってしまいます。

また、挨拶のリターンがない方は、この「低いボソボソ声」になり、聞こえていない可能性が非常に高いのです。そこは意識して、ワントーン高い声で、いつもより大きめの声をかけましょう!
明るい声は、少し高めに聞こえますよね。逆に低い声は暗い印象になります。
皆さんの声を録音してみてください。客観的にどんな印象を与える声か確認してみる・・・まず自分のことを知ることから始めてみてもいいかもしれません。

・・・かといって、面談中や電話中など、対人業務中は、時間をずらすなど工夫をしましょうね!

アイコンタクトをとる!

相手の目を見て挨拶するということは、「あなたに挨拶しています」という意思表示でもあります。
視線を合わせて、挨拶することにより、より効果的な挨拶ができます。

相手をしっかりと見ることにより、相手の変化も気づくことが出来るようになります。

「あの人、いつもより、さすがに、つらそうじゃない?」
こんな気づきができ、声をかけることができると素敵! 挨拶の上級者です!

「~ながら俗」は禁物!

例えば、皆さん忙しい時に他の人に対し、どんな対応をしていますか?
・カルテを準備しながら、「おはようございま~す」
・処置の準備をしながら「お大事に~」
・パソコン作業をしながら「は~い」「お疲れさま~」
このような「○○しながら」取り敢えず他の人が言っているから私も言ってます~よくわからんけど・・・、挨拶しろっていわれるから仕方がないよね・・・っという対応していませんか?
「~ながら挨拶」は相手の方に大変失礼になります。一旦手を止めて、顔を上げましょう。

皆さんはこんな経験ありませんか?

銀行などで、入ってきた瞬間どこから聞こえるともわからない「いらっしゃいませ~」の声、機械的だなあと思ったことありませんか?
同様に、誰にともなくかけている「こんにちは~」「お大事に~」
受付に行っても「こんにちは~初めてですか?」「診察券と保険証をお願いします」と声は聞こえて、スタッフさんはいらっしゃるけれど、誰が声を出しているのか、誰にお願いしたらいいかわからないから、受付の周りをウロウロ・・・

実は、どの事例も「私が言われているのではない」と思われている可能性があります。アンケート調査を行うと「挨拶をしない」という声が出てくるのも、このような医療機関が多いのです。
忙しいのは十分にわかるのですが、一旦顔を上げて、アイコンタクトをとり(目を見て)声をかけるようにしましょう!

まとめ・・・挨拶は大事!

「挨拶」は「私から心を開いて相手に近づいていく」という行為で、だからこそ「コミュニケーションの第一歩」といわれるくらい大事なものなのです。この「挨拶」ひとつで、医療機関の印象や、職場でのあなたの印象が変わってしまうとすると、いい加減にはできませんよね。

私は接遇研修の中でこの「○○ながら」の対応が与える心理的な不快感を体験してもらうようにしていますが、その中での感想は、「このヒト聞いているのかな、と思った」「話してもいいのかなと思った」「ちゃんと向き合ってほしい」というものが多く、中には、「ムカついた」というようなご意見もあります。お会いした時の挨拶の場面・・・一瞬の場面であっても、このような感想を持たれるかもしれません。このことを意識していると、せめて顔を上げて、声をかけるということはしたほうがいいですよね。

また、近年では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、非接触が良いとされてきました。世の中では、ICT活用が推進され、電話も自動応答や予約は携帯から、受診するときも機械でピッ!、資格確認もオンラインで、お薬も電子処方箋で自動配送、会計も自動精算機・・・など、様々な場面で自動化・機械化されていて、直接対応する機会が減ってきています。
しかし、こんな時代だからこそ、人との対話やコミュニケーションはとても大事になってきています。

子どものころからの挨拶の習慣がない方や人との対応が苦手な方は、少し努力が必要かもしれませんが、「あかるく、いつも、(わたしから)さきに、つづける」挨拶を意識して、実践していきましょう!

2023年7月14日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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