令和5年度の地域別最低賃金
藤原 由美
人事労務令和5年度の地域別最低賃金の答申がすべての都道府県でなされました。[i]
答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申し出に関する手続きを経て、都道府県労働局長の決定により2023年10月1日から10月中旬の間に順次発効されます。(福岡県は8月28日に答申の金額通り941円で改定決定となりました。発効日は10月6日です。[ii])
最低賃金の改定の際には、
①現在の従業員の賃金が時給に割り戻した際に最低賃金以上となっているか、
②求人票の賃金が最低賃金以上となっているか、等を必ず確認する必要があります。
①最低賃金額を計算する際に、どこまでが最低賃金の計算の範囲となるでしょうか。
最低賃金の対象となる賃金、対象とならない賃金を解説します。
〇対象となる賃金は
毎月支払われる 基本的な賃金、基本給・諸手当 となっています。
●対象とならない賃金は
1.臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2.1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
3.所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
4.所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
5.午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
6.精皆勤手当・通勤手当・家族手当 となっています。
②最低賃金以上かを確認する方法
1.時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
2.日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
3.月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
4.出来高払制その他請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他請負制によって定められた賃金の総額を当該賃金計算期間に出来高制その他請負制によって労働した総労働時間で除して時間当たりの金額に換算し最低賃金額(時間額)と比較致します。
最低賃金額を下回っている場合は、賃金の改定もしくは労働時間の見直しを行う必要がございます。事前に、余裕をもって準備を進めてまいりましょう。
[i] 【厚生労働省】令和5年度 地域別最低賃金 答申状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001136128.pdf (2023年9月4日)
[ii] 【厚生労働省 福岡労働局】福岡県最低賃金を「1時間941円」に引き上げます
https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/content/contents/001555687.pdf (2023年9月4日)
□参照WEBサイト
【厚生労働省】必ずチェック最低賃金 https://pc.saiteichingin.info/(2023年9月4日)
2023年9月4日
著者紹介
- 人事コンサルティング部 労務コンサル課
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