社会福祉充実計画の概要(社会福祉法人制度)
峯 良輔
税務・会計社会福祉充実計画とは、平成29年4月に施行された「改正社会福祉法」で導入された社会福祉法人に関する制度になります。この制度では、社会福祉法人が保有する財産について、「事業継続に必要な財産(控除対象財産)」を除いた残りの財産を「社会福祉事業等に再投下すべき財産」として「社会福祉充実残額」と定めています。社会福祉法人に「社会福祉充実残額」がある場合には、それを財源とした社会福祉事業等の実施計画(原則5か年度以内の計画)を策定する必要があり、この計画のことを「社会福祉充実計画」と言います。社会福祉充実計画は策定をした後、評議員会に諮り承認を得た上で所轄庁へ申請することになっています。所轄庁が社会福祉充実計画を承認した後、社会福祉法人は計画に基づき事業を実施していきます。
この社会福祉充実計画制度ですが、実務面で特に重要となるのが社会福祉充実残額の算定です。算定をした結果、社会福祉充実残額がないということになれば、社会福祉充実計画の策定は不要ということになります。一方で、社会福祉充実残額があるという結果になれば、その金額に応じた社会福祉充実計画を策定しなければなりません。このため、社会福祉充実残額を正確に算定できるかどうかが、その後の実務に大きく影響を及ぼすことになります。
社会福祉充実残額の算定式ですが、概要は下記のようになっています。
「社会福祉充実残額」
=①活用可能な財産-(②事業用の不動産等+③将来の建替費用等+④必要運転資金)
社会福祉充実残額の算定については、毎会計年度終了時(決算時)に行う必要があります。社会福祉充実計画の策定にはある程度の期間を要しますので、決算前にあらかじめ社会福祉充実残額の試算を行い、準備をすすめておいた方がよいでしょう。
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厚生労働省「社会福祉法人制度改革について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html(2023年10月19日)
2023年10月20日
著者紹介
- 税務会計コンサルティング部 次長
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