会計システムへの預金通帳明細入力のDX事例
村瀬 俊昭
DX推進皆さん、連日の猛暑が凄まじいですが暑いと中々業務にも集中できないですよね。
面倒な業務は自動化を進めて快適に業務を行っていきましょう!ということで今回のコラムは当社内での業務のDX事例を紹介させていただきます。
1.概要
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とAIOCR(AIを用いた光学文字認識)技術を活用し、預金通帳のスキャンデータを会計システムに取り込む工程を半自動化しました。これにより入力時間の短縮が実現しました。
2.背景
預金通帳のスキャンデータを会計システムに入力する工程に以下のような課題がありました。
・会計システムを初めて使用する人は時間がかかる
・単純作業に営業担当者の時間が取られてしまう
・会計システムのCSV取込機能を使いたいが、CSVデータの作成が難しい
・通帳の入力者と確認者が同じ場合、入力ミスが見逃される可能性が高い(ダブルチェックの必要性)
3.改善前後の作業工程
■改善前
手入力やデータ作成サービスを利用していましたが、いずれも時間がかかり生産性の低下を招いていました。
■改善後
通帳をスキャンし、RPAがデータを処理してエクセルファイルを生成。ユーザーがエクセルファイルを確認・修正し、会計システムに取り込むという流れになり、時間短縮が図れました。また、入力ミスの削減にも繋がります。
図1:改善後の業務フロー概要
4.システム構築のポイント
①AI-OCRの読取精度の可視化
AI-OCRの読取精度は必ずしも100%でないため、人のチェックが必須となります。
ある一定の基準よりも読取精度が低い部分については色で強調することで確認作業を容易にしました。
②ダブルチェックの簡素化
弊社で扱っているAI-OCRサービスは読取結果をエクセルデータとして出力できます。ただし、読取結果は原本との見た目が大幅に変わってしまいダブルチェックに大幅な時間がかかってしまいます。
読取結果は原本となるべく近いレイアウトに加工し、明細の順番も原本と同じするといった工夫を行うことでユーザーのダブルチェックの簡素化を実現することができます。
図2:スキャンデータと読取後エクセルデータの比較
5.効果
従来の会計システムの手入力の場合1ページ10~15分の作業時間がかかり仕訳データ作成サービスでは1営業日かかります。本システムではページ数にそこまで影響されず平均5分以内で読取結果を出力することができ、入力時間の短縮となり、生産性も向上しました。
皆さんいかがでしたか?上記はマイクロソフトのRPAツールのPowerAutomateDesktop(以下PAD)、AI-OCRサービスを組み合わせて改善した事例です。特にPADは無料で利用することができますので是非一度お試しいただけたらと思います。また、事例に関して詳細が知りたい場合はICT活用推進課までご連絡いただけたらと思います。
面倒な業務は自動化して暑い夏を乗り切っていきましょう!
2024年7月25日
著者紹介
- DX推進支援部 ICT活用推進課
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