どうする?ベースアップ評価料~3か月後の報告書どうしていますか?~

長 幸美

医療介護あれこれ

令和6年6月の改定により新たに評価された「ベースアップ評価料」ですが、早いもので、3ヶ月経ち今月は「入院ベースアップ評価料」と「外来在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」を取得している皆さまは実績報告と再評価の時期となりました。9月も半ばに入りお問い合わせが増えてきています。

ベースアップ評価料の報告について

ベースアップ評価料については、診療報酬で点数をいただいているものですが、医療機関の収益というよりも、いただいたものはすべて該当スタッフの給料にあてることが要件の一つになります。
職員のお給料の一部をベースアップ評価料でみてくれているわけです。

9月11日に事務連絡が出され、届出用紙が一部変更されていますので、ご確認ください。
報告に際しては、各厚生局の新たな届出書類に記載して出す必要がありますので、ご注意ください!

 ※「ベースアップ評価料にかかる届出用紙の改定について」事務連絡令和6年9月11日
 ※九州厚生局「ベースアップ評価料」

【外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを算定されている医療機関】

来年3月までの実績を8月に提出します。この際に「(別添)_実績報告書」のそれぞれの医療機関毎にシートを選んで一つ作成することになります。こちらは来年の8月・・・少し先の話となりますね。

【外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定されている診療所】

3ヶ月ごと(6月・9月・12月・3月)に実績を確認し、報告が必要になります。
今月(9月)は、6月~8月までの実績を報告することになっています。
その際の届出は「様式96」です。
届出に際しては、今回の実績値とともに、前回の届出時の実績を右側に書き、6~8月の実績を左側の欄に書くことになります。
 ・ベースアップ評価料の届出様式と賃金改善計画書の記載例(ⅠとⅡ)

最初に「2_該当する届出」の欄の届出を行う月にチェック☑を入れたら自動的に患者数の集計や対象職員の給与の計算(集計)する月(4_対象職員の給与総額~~)にチェックが入ります。
「4-②_対象職員の給与総額の1月あたりの平均額」には、看護補助者処遇改善事業補助金やベースアップ評価料による賃金引き上げ分については含めないこととされていますので、ご注意ください。
なお、前回届出時には、今回6月に申請した時の実績金額を入れることになります。

厚生労働省/入院ベースアップ評価料記載例より

【外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と入院ベースアップ評価料を算定されている診療所・病院】

3ヶ月ごと(6月・9月・12月・3月)に実績を確認し、報告が必要になります。
その際の届出は「様式97」です。
今回の実績値とともに、前回の届出時の実績を右側に書き、6~8月の実績を左側の欄に書くことになります。給与総額の注意事項は(Ⅱ)と同様です。
 ・ベースアップ評価料の届出様式と賃金改善計画書の記載例(Ⅰと入院)

届出期限

3か月ごとの届出は、6月、9月、12月、3月に直近3ヶ月の実績を報告することとされています。
届出は、今回令和6年6~8月分の実績は令和6年9月の届出になりますので、期限は10月1日(火)までの届出になります。
通常の施設基準の届出同様に月初めの開所日までの届出ですので、ご留意ください。

(別添)実績報告書はいつ提出するの?

「(別添)_実績報告書(病院及び有床診療所)」は年度ごとに・・・まとめて報告となります。
令和6年度(令和6年6月~令和7年3月迄)であれば、令和7年8月に実績をまとめて記載し、提出することになります。

まとめ

新しい仕組みの為、何かとよくわからない状況が多い「ベースアップ評価料」ですが、厚生労働省のホームぺージに特設サイト「ベースアップ評価料について」が開設されています。また、各医師会からも案内が出ているところもあるようです。適宜確認しつつ、適正に対応していくようにしましょう。

現状では外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみの届出を行っている医療機関であっても、要件に該当すれば、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)や入院ベースアップ評価料を追加で施設基準の届出することにより、算定可能になります。ベースアップ評価を未算定の医療機関様におかれても若干の手間はあるかもしれませんが、対応をご検討いただいてもよいのではないかと思います。

現実の問題として、人員不足や採用したいが応募がない・・・というようなお悩みの声もお聞きしています。お給料の高さがすべてではありませんが、求職者の判断基準の中で、お給料や働きやすさ等の処遇は大きなポイントです。診療報酬で給与アップができるのですから手間を惜しまず行えば確実に収入が得られ職員に還元できます。事務職員の皆様はここが頑張り時です。報酬算定の届出に受け身ではなく積極的に行動を起こすことが事務職員の評価になります。医療機関にとっては厳しい時代となってきましたが、地域医療を守るためにも、皆さんで頑張っていきましょう!

<参考資料> 令和6年9月20日確認

厚生労働省/ベースアップ評価料等について
   ⇒「令和6年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料」に係る特設ページです。
    制度の説明や申請書の作成方法、疑義解釈通知などまとめて掲載されていますので、随時
    ご確認ください。現時点での更新日(R6.9.11)
   ⇒説明動画も公開されておりますので、ご確認ください。

 ・ベースアップ評価料に係る届出様式の改定について(事務連絡令和6年9月11日)

 ・入院ベースアップ評価料の追加届出について
   ⇒外来・在宅ベースアップ評価料を算定している医療機関が追加で申請する方法
    について解説されています。

 ・ベースアップ評価料の届出様式と賃金改善計画書の記載例(Ⅰと入院)
   ⇒R6.9月版に更新されていますので、ご確認ください。(更新日R6.9.11)

 ・ベースアップ評価料の届出様式の簡素化について
   ⇒ダウンロードの仕方や変更点をわかりやすく解説されています。

■九州厚生局/特掲診療料「ベースアップ評価料」

2024年9月26日

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

制作者の直近の記事

コラム一覧に戻る
お問い合わせ

PAGE TOP